加熱式たばこ「アイコス」、人気沸騰の舞台裏 全国で品薄、ネットでも限定カラーが暴騰中

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現実にヤフーオークションなどでは、限定色の新品が実質2倍以上の1万5000~2万円くらいで、大量に売られている。もっとも最近では、アイコスのHPを通じたオンライン注文で、発注日から2週間程度での発送予定ということで、ようやく少し落ち着いてきているようだ。

またスティックについても、ネットオークションでは海外限定色のブルーリミテッドエディション、限定ボルドーレッド、限定ロゼピンク、さらに欧州で販売されているシルバーなど、平気で数万円の値段で売られているような状況である。

しかし、国内の正規品以外では保証が受けられないため、安全とは言い切れない。スティックの先のキャップ部分(全13色)は、アイコスオンラインショップで通常販売され、普通に購入できる。

JTやBATはどこまで追随できるか

IQOS原宿ストアビル。好立地に「IQOS」のブランドが光る(筆者撮影)

加熱式たばこは複数の種類があるものの、他社の加熱用スティックでは加熱できない。スマホと同様にリチウムイオン電池の定期交換も必要。最新式の充電可能回数は、スティックホルダーが約7300回、本体充電チャージャーが約365回、と説明されている。互換性のないこの商品は、消費者が使い慣れるほど、同じ製品を買い続け、ブランドスイッチがしにくくなる。

結局は電子機器であるから、リチウムイオン電池を交換する手間が生じる。ランニングコストがかかるうえ、バッテリーも弱くなって、充電時間が長くなる可能性も指摘されている。先行しているアイコスの優位は当分崩れないと思われるが、JTやBATの猛追、さらには喫煙者を加熱式たばこにどこまで取り込めるか、今後の各社の動向に注目したいところだ。

(注)本記事は、たばこやパイプたばこなどの推奨や宣伝の意図はまったくなく、商品分析のために書かれたものです。たばこは人体に有害とされているため、推奨されるものではありません。厚生労働省の方針も現時点でのものです。

山本 康博 ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター

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やまもと やすひろ / Yasuhiro Yamamoto

1965年生まれ。日本コカ・コーラ、JT、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品を計算すると打率3割3分、マーケティング実績30年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out~a ninja in Japanese brandmarketer~』(BVC)など。

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