フランス人が大統領選前に「焦り始めた」ワケ

フェイスブックには悲鳴のような投稿が…

しかし、同じパン屋さんでバゲットを買ったり、幼稚園であいさつしたりする人たちと、ビールを囲んで、腹を割って政治の議論をしたことがないから、彼らの本心はわからない。そう考えると、同じ村に住んでいるのにまるで別々の世界にいるようだ。新聞にも書かれているが、フランスは分断されてしまったかのようだ。

ルペン氏が出してる選挙公約には、悪くないものもある。しかし、どうしても彼女を選べない点がいくつかある。ルペン氏が、イスラム教への憎しみをあおっていることは有名な話だが、ほかにも、警察や軍隊の権力の強化、刑務所の増加、終身刑の復活などを公約としている。これを理由に「仕方なく」マクロンに投票してしまうのも、過去の過ちの繰り返しだ。まるで、上からうまく仕掛けられた罠(わな)に落ちるように感じないでいられない。

Facebookに吹き荒れる「警告」の嵐

Facebookを開くと「マクロンは銀行業界出身のエリートで、オランド大統領の相続人! マスコミから大げさなサポートをもらって、元から結果は決まってたじゃん! 投票をしたって、結局は何も選べない状況だ!」とか、「マクロンは、オランド大統領や周りの権力者たちが仕掛けた罠で、彼に投票しても仕方ない」とか、「いや、気をつけろ! ルペンはマクロンからこぼれた票を狙っている」という投稿が数多く見られる。

今回、躍進した銀行出身のマクロン氏は、39歳と若いせいか、やわらかすぎる印象が否めない。また、環境、失業、教育など、フランスが抱える社会問題に対して十分な公約を提案できていないのも気になる。

実は、私の周りに多かったのは、極左の代表だったジャン=リュック・メランション氏の支持者だが、1回目で敗れてしまったため、2回目の決戦投票では、メランション氏の指示に従って、多くの人が白票(記名なしで投票)あるいは、不参加を考えているようだ。しかし、白票を投じても、最終的に選挙の結果に影響がない。一応、反対の声は伝わるかもしれないが、極右のルペン氏を勝たせてしまう危険性がある。

こうした中、どちらに投票していいかわからない私のような国民に、残された道は2つしかない。極右の脅威の不安に負け、やむをえずマクロン氏に票を投じるか、「なるようになる」と、大勢のフランス人が同じ選択肢をすることを祈りながら、抗議の白票を投じるか。

心を決めるため、日々ニュース記事を読んだり、人の意見を聞いたりしているが、正直どうしたらよいかわからない。ただ、どちらの候補者が選ばれたとしても、前向きに行動するしかないと思う。これが、今の率直な気持ちだ。きっと、多くのフランス人も同じ心境ではないかと思う。「最後の審判」まであと数日。私の頭痛がやむ日は訪れるのだろうか。

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