日本企業から相次ぐ「中国経済底入れ」の声 コマツ、日産、日立、三菱電機の決算から見えること
地方での工事の恩恵を受けているのは、社会インフラ整備に強い日立製作所<6501.T>や三菱電機も同じだ。沿岸部に比べて内陸部は依然として都市化に関連した工事が進んでおり、高性能な日本メーカーのエレベーターの需要が商業ビルなどで強いという。日立の中村豊明・副社長は、「昇降機の(受注は)相当増えている。先行きプラス要因に感じている」と説明。中国の景況感について「底を打った」と述べた。
三菱電機の場合、ファクトリーオートメーション(FA)の受注も上向いている。韓国、台湾と並び、中国でスマートフォンや液晶の生産向けに設備投資が増え、3月ごろからFAの受注が堅調。第2・四半期以降、業績に貢献してくるとみている。松山彰宏・常務執行役員は「前年度の第4・四半期に比べると受注が伸びている」と語った。
リスクとして認識
もちろん各社とも、手放しで楽観しているわけではない。「当然、注意しては見ている」(日産の田川執行役員)、「リスクとしては認識している」(三菱電機の松山常務)などの声も聞かれた。日産の田川執行役員によると、現地の金融機関と取引が多い地元企業の中には、資金調達の条件変更を迫られているケースも散見されるという。
それでも一部のマクロ統計には、底打ちの兆しを読み取れる数字が出てきた。7月の製造業PMIは、中小企業の占める割合が高いHSBCによる数字が47.7と、11カ月ぶり低水準となる一方、大企業の動向を示す国家統計局によるPMIは50.3と、前月の50.1から上昇し、好不況の境目である50を上回った。3日に発表された非製造業PMIは54.1と、6月の53.9から上昇した。
日立の中村副社長は「GDP(国内総生産)は7─7.5%程度で当面は安定するだろう」との見通しを示す。
これまで海運の荷動きは、中国の鉄鉱石需要の低迷でばら積み船が鈍かった。しかし日本郵船<9101.T>は、鉄鉱石や石炭を中心に4─6月期は荷動きが増加した。さらに航空貨物も「中国のフォーワーダー(国際貨物混載事業者)から問い合わせが来ている」(日本郵船の磯田裕治・経営委員)という。
中国販売の計画が狂い業績の下方修正に追い込まれたキヤノンだが、田中副社長は「中国の景気はこの下期のどこかで景気が回復してくる」と期待を示す。「そうすれば当然、カメラの売り上げもいい影響が出てくる」。
(久保 信博 編集:北松 克朗)
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