雅叙園「猫アート展」が猫好きを魅了するワケ 東京都有形文化財の「百段階段」が会場に
SNS全盛の世相に対応してか、展示会としては珍しく、写真撮影が許可されているのも、来場者にはうれしいポイントだろう。ふだんは撮影が認められていない百段階段に、思う存分シャッターを切るチャンスでもある。
また、百段階段の企画展としては久しぶりに、物販コーナーを設けた。展示作家の作品のほか、今回の和のカテゴリとは異なる洋風テイストのため、展示対象とならなかった作品や、クラフト作家の作品などが販売されている。また物販コーナーはホテル内の別の場所でも展開され、作家作品よりぐっとお手頃な猫グッズ商品も買うことができるようだ。
来場者数の見込みを聞いたところ、「このような展示会は初めてなので、データの裏付けができないのですが、過去の企画展は日に600人というところ。1日1000人来れば万々歳、ということですが、ネットでの拡散状況やGWならではの集客など、19日間の展示期間で約2万人を見込んでいます」(芳賀氏)とのことだ。
百段階段内での物販など通常行わないことに対して、「運営がスムーズにいくか、実施してみないと、どうなるかわからない」(芳賀氏)という。確かに、決して広くはない室内に多数の商品が陳列されている。商品の搬入は階段を上り下りして運ばねばならないのだろう。ここで思い出されるのが、展示室以上にごった返している展示会の物販コーナーの光景。普段は買えない希少な猫グッズを手に入れられるとなると、猫ファン、アートファンが殺到しそうだ。
実際、初日の4月26日には837人の来場者を数え、連休前半の4月29日と30日にはそれぞれ1600人を超えたという。ただ、猫アート作品は1品1品が気軽に買えるような値段ではなかったからか、なかなか販売には結び付かなかったようだ。別に設けられたお手軽価格グッズの販売コーナーは、活況を見せていた。
6月には「坂本龍馬」の展示会を開催
同ホテルでは今後も、百段階段にふさわしく、かつ、広い客層にとって魅力ある企画展示を行う予定だ。たとえば近々の6月1~25日に予定されているのが、今年、没後150年を数える坂本龍馬の展示会だ。坂本龍馬の展示会はこれまでにも行われてきたが、今回は、ソフトバンクグループが主催し、高知県立坂本龍馬記念館の所蔵品が公開され、雅叙園側が展示演出や最終的なとりまとめをする。
「大の龍馬ファンであり、龍馬記念館とも親交の深い孫正義社長が企画にも参加されますので、その意味でも見所のある展示会になるのではないでしょうか」(芳賀氏)
龍馬が暗殺されたときの殺陣を推論し、再現した映像を障子に映る影で表すなど、この建物ならではの展示も紹介されるようだ。
ホテル自体はスイートルーム仕様で1泊の料金が十数万からという価格のため、気軽に泊まるというわけにはいかない。しかしこの百段階段企画展は、企画展の入場とホテル内レストランでのランチがセットになったプランや、ガイド付きツアーなども設けられており、数千円から1万円程度で目黒雅叙園の魅力を味わうことができる。新ブランドでスタートした同ホテルにとっては、より広い客層を取り込むツールとして、大いに活用できそうだ。
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