具体的には、「インプット・プロセス・アウトプット(以下、頭文字でIPOとよびます)」という3つのステップを意識せずに作成されていることが原因と考えられます。
会議におけるIPOとは、
(1)インプット:情報や事実の共有
(2)プロセス:論理的に決めていくのか、アイデアを誘発するのかなど会議の進め方や時間配分
(3)アウトプット:最終的に決めるべきこと
です。こう聞くと当たり前のことに思えるかもしれませんが、筆者がさまざまな資料を見ていると、この3つをしっかりと意識して作成できている資料は少ないと感じます。以下、よくあるパターンをあげてみましょう。
肝心の議論に時間を割けていない
パターン(1):インプット偏重
状況説明が膨大で資料のメインになっている。情報共有だけで会議時間の大部分を費やしてしまいます。聞いている人も、理解することが多すぎて、無駄な質問や脱線も多くなりがち。肝心の議論に時間を割けず、満足な意見交換もできず、延長になったり、次回に持ち越しになってしまいます。
特に事務方やスタッフ部門の方は、持っているデータが多いこともあり、「すべて伝えなくては」もしくは「つっこまれないようにしなくては」とついつい資料を膨大なものにしがちです。
パターン(2):インプット不足
(1)の逆です。情報不足で、正確な事実が共有できないため、思い込みが多い議論に終始しがちになります。たとえば、営業不振の打開策を考える会議で、インプット資料が営業成績のデータだけの場合、「営業マンの努力が足りないんだよ」「いやいや、俺が思うに管理職がきちんと見てないからこうなるんだ」「私見ですが、この顧客はもう見込みないのでは?」など各自が知っている範囲での発言が続くため、なかなか議論もかみ合わず、収束しません。会議で「私が思うに……」「私見ですが……」が多いとしたら、正確な事実情報が不足していると考えたほうがよいでしょう。
パターン(3):会議のプロセス設計ができていない
これは非常によく見かけられるパターンです。どうやって議論するのかという進め方や時間配分が決められていないため、効果的な議論ができなくなります。物事を論理的に判断して決めたい場合や、できるだけ斬新なアイデアや打開策を出したい場合など、議論の目的によっても資料の作り方は変わってきます。これを意識していないと、「皆さんのご意見をいただきたいのですが……」、「(……シーン)」というふうに発言がまったく出ない場合もあれば、逆に見当違いの発言がたくさん出て脱線で盛り上がってしまう場合もあります。
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