1回3000円「お寺婚活」に男女が殺到する理由

マナー守れぬ会員は、スパルタ禅僧が「一喝!」

参加社は全員、自分の封筒を事前に用意し、男女別に部屋の床にずらりと並べる。次に、男性は女性の封筒がある部屋へ、女性は男性の封筒がある部屋へと向かう。そして、気になる人の封筒に、自分の連絡先(メールアドレスとLINE IDのみ)を書いたカードを入れる。全員に入れてもいい。むしろ、全員に入れるべきなのだ。理由はのちほど明らかになる。

全員が作業を終えたら、封筒を開ける緊張の瞬間だ。もっとも、カードが少ないからとヘコむ必要はない。1枚も入っていなくても、自分の連絡先を渡しているなら、相手から連絡をもらえる可能性はある。実際、この会で結婚した人の半数は、最初は片思いだった。逆に、カードがたくさん入っていた人ほど、結婚に結び付かないらしい。「『私は(僕は)まだイケル!』という自信が出て、ついつい欲が出てしまうんですね」(木宮氏)。

吉縁会の役割はここまで。このあとは、各自で連絡を取り合い、自由に愛を深めていけばいい。至れり尽くせりのサービスよりも、「あとは頑張れよ」と背中を押すぐらいでいいのだ。

おカネ目当ての祖父と結婚しても「幸せだった」

吉縁会が考える、幸せな結婚とは何だろうか。

「幸せな結婚とは、幸せになれる条件の整った相手を探すのではなく、この人と決めた人と幸せを作っていくことです。私の祖母は2歳でお寺の住職をしていた叔父の家にもらわれました。祖父は貧しい家に生まれ、幼い頃に母が亡くなり継母に育てられたのですが、お寺に捨てられました。祖父の捨てられたお寺はさほど裕福ではなく、ご飯だけは食べさせてもらえましたが、勉強すると怒られたそうです。おカネがかかるからです。

それでも祖父は毎日お経を読み、隠れて勉強をして東京帝国大学に合格しました。そこで、お見合いの話があり、学費を払ってもらえるということで祖母と結婚します。あまりいい言い方ではありませんが、おカネ目当てですよね(笑)。祖母もお寺の後継ぎが欲しいという理由で、祖父と結婚します。結婚式の日が『初めまして』だっただけでなく、祖父はその日のうちに東京で就職が決まったという電報を受け取り、『では失礼します』と、そのまま東京へ行ってしまったんです。

婚活イベントらしく、5分の会話タイムはあるものの、そこでわかることなどわずかだ(写真:吉縁会提供)

数年前、その祖母は103歳で亡くなりました。100歳の誕生日には、玄孫(やしゃご)まで合わせて75人が集まった。そのとき、『私は、結婚して幸せだった』という話をしてくれました。相手は学費目当てで結婚した人で、結婚式の日に東京に行ってしまったんですよ。それでも、相手のよいところに目を向けていった結果、“幸せな結婚生活”を送れたのです。

今の人たちは結婚の入り口が大事な人が多いように思います。すばらしい人と結婚すればすばらしい人生なのではありません。出会った相手と幸せになるのが結婚なのです」(同)

先ほどの「封筒全部に連絡先を入れたほうがいい理由」をおわかりいただけただろうか。5分話してわかることといえば、せいぜい外見と年齢と職業くらいだろう。そんな条件で結婚相手を選ぶのは無意味ということだ。ご縁があった人と幸せを作っていく結婚をしてほしい、と吉縁会は願っている。
 

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