「レッドブル」、異例成長支える"逆転の発想" 老舗の中で新興企業が存在感を増したワケ

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そこで新参者で既存流通網を持っていなかったレッドブルは、いきなり大量に大勢の人たちに売るための取り組みに力を入れるのではなく、逆転の発想でまずは少数でも値段が高くても買ってくれる顧客をファンにして、ファンを起点に口コミでレッドブルの評判を広げることに注力したわけです。

さまざまなスポーツをスポンサード

特にレッドブルのマーケティングの成功を語るうえで必ず語られるのが「スポーツマーケティング」でしょう。

スノーボードやサーフィン、BMXなどのエクストリームスポーツにレッドブルは積極的にスポンサー契約を結んでおり、レッドブルと競技のイメージがシンクロするエクストリームスポーツは数えきれません。

ただ、ここで注意していただきたいのは、同じ「スポーツマーケティング」という言葉でも、いわゆる大企業がイチローのような有名スポーツの有名選手のスポンサードをするのと、レッドブルのエクストリームスポーツのスポンサードは起点が異なっている点です。

通常イチローのような有名選手のスポンサードは、その選手の知名度や人気に企業側があやかろうとする行為です。自社のテレビCMに有名選手が出てくれれば、その選手に好意を持っている人たちが、自分たちの製品に興味をもってくれるはずだという企業視点のアプローチといえます。

しかし、レッドブルのスポンサードは、知名度が高いスポーツや選手ではなく、どちらかというとマニアしか知らない文字どおりエクストリームなスポーツのスポンサードを起点としています。

そして、レッドブルはそのスポーツ自体を一緒に広げようと努力する立場です。スポンサーされるスポーツ選手やスポーツ組織からすると、単純におカネを提供してくれるスポンサーというよりは、どちらかというとパートナーに近い存在といえるかもしれません。

フットボールやスノーボードのような比較的メジャーな競技に並んで、スキージャンプ競技場を利用して行うヒルクライムのスプリントレースや、高さ28mの和歌山の三段壁で開催されるクリフダイビングなど。レッドブルのサイトに行くと、実にさまざまなスポーツをレッドブルがスポンサードしていることに驚かされます。

こうしたエクストリームスポーツの選手たちは、レッドブルのスポンサードにより、従来に比べて競技自体の知名度を高めることもできれば大会規模も大きくすることができる可能性が出てくるわけです。

この選手たちがレッドブルに対して感じる感謝のレベルを想像してみてください。すでに成功しているメジャー競技の有名選手がスポンサー企業に対して感じる感謝とは、まったく違う種類の感謝になることは容易にイメージできると思います。

つまり、同じスポーツ選手のスポンサードにおいても逆転の発想があるのです。

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