わが家の本棚の実際は
本好きの姉のためにそろえた『世界童話集』『日本昔話』『グリム童話集』『イソップ物語』などいっぱいの本があったのに、あなたは見向きもしませんでしたね。まさに心ここにあらずんばでした。とにかく外で遊ぶのが好き。熱帯魚、ザリガニ、セミ、沢蟹、クワガタが大好きでゴキブリを捕まえたときには、それも飼うと譲らず困ったものでした。怪獣図鑑や分厚い熱帯魚図鑑だけは進んで何冊も買い、それは全部暗記できたほどに読んでいました。私の友人が、ここまで熱中するものがあるということは、将来、いざというときに集中力を発揮するよ、と慰めてくれたのが救いでした。
子供の才能を見いだせないなら、せめて本好きに
たとえばイチロー選手の父は、いつもイチローの少年野球に付き添い、夜はイチローにマッサージしてやることを日課としたのは有名です。イチローの野球好きが先だったのか、親が才能を見出して導いたのが先だったのかは知りませんが、パパイチローが野球の練習時間を削って、読書や塾通いもさせていたらどうなったでしょうか?
盲目の辻井信行さんの才能に気づいて国際的なピアニストに導いたのは、ピアノは弾けない平凡な母親でした。知的障害者の大江光さんの才能に気づいてクラシックの作曲家に導いたのは、音楽家ではない小説家の父親、健三郎氏でした。誰もがそのような才能を持っているものでもなく、親なら誰でも、そのような賢明な親になれるものでもありません。
ならば凡人の私に育児のやり直しが許されるなら、私の子なので第2のイチローや五嶋みどりは早々にあきらめて、この学生さんのように、とりあえず本好きな子に育てることに力を注ぎたいと思います。
この学生さんは自ら求めて本好きになったケースですが、親の教育方針で本好きに育ったケースも多かったのは励みでした。子供が何に向いているかわからない段階で、どのような夢を持つかわからない段階で少なくとも親ができる最良の選択であると、今回のアンケート結果をみて、ますますその意を強くしています。そして活字人間が決まって言う言葉、「本から得られた多くの知識が、力になっている」。そんな人生を送ってほしいと思っています。
※ ミセス・パンプキンさんへの相談はこちら
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