一方、ユーロドルのリスクリバーサル(1カ月もの)は、ユーロプット・オーバーが4月初旬の1.0%から13日には4.35%へと大幅に拡大。拡大幅は、ユーロ圏がギリシャ問題に揺れた2011年11月(4.41%)以来最大となった。
また、3カ月物でもユーロプット・オーバーがじわり拡大していることから、市場参加者が当面のユーロ安ドル高トレンドに備えている様子がわかる。昨年6月の英国民投票、11月のトランプショックに続き、4月23日に行われるフランス大統領選挙でも「まさか」の結果となるリスクに備えて、ユーロの下落に対する投資家のリスクヘッジが加速している。市場の関心は地政学リスクよりもフランス大統領選のほうが大きく、ドル円の上値が重いのも、フランス大統領選に対する不透明感が影響している可能性が高い。
選挙は侮れないが、ユーロの下落は一時的なもの
各社の世論調査をみると、第1回投票では独立系候補のマクロン氏と、極右のルペン候補が勝利し、決選投票ではマクロン氏が勝利することを示唆しているが、果たして今回は世論調査通りの結果となるのだろうか。
欧州議会の委託によるユーロバロメーター調査は、EU28カ国の国民に対し各国1000人規模で行うアンケート調査だが、直近の2016年版をみると興味深いポイントが浮かび上がる。
「フランスが直面する最重要課題を2つまで挙げよ」との問いに対しては、1位が失業(49%)、2位がテロ(31%)、3位が移民問題(19%)との結果が並ぶ。次に「あなた自身が個人的に直面する最重要課題を2つまで挙げよ」との問いに対しては、1位が物価上昇や生活コストの上昇(33%)、2位が家計のやりくり(15%)、3位が失業(15%)と並び、フランス国民は雇用や家計、移民問題への不満が高いことがわかる。「失業は移民のせいだ」と主張し、「移民の受け入れ禁止」「シェンゲン協定の破棄」「フランス第一主義」「ブルーカラーの雇用を守る」「中小企業への減税」「フランス家庭のみへの児童手当」といった政策を掲げるルペン氏は、フランス国民の日々の生活に対する不満の声を拾っており、幅広く支持を得る可能性がある。
加えて「あなたは、EUの将来について楽観的ですか?悲観的ですか?」との問いに対しては、フランス国民の回答は「悲観的」が56%、「楽観的」が41%、「わからない」が3%と、悲観が楽観を大きく上回っている。同じ質問に対する回答を、EU28カ国で比較すると、EUの将来について「楽観的」との回答が最も少ないのがギリシャの30%で、2位がキプロス(39%)、3位がイギリス(40%)、そして4位はフランス(41%)となっている。
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