核や化学兵器より「生物兵器」が恐ろしいワケ 21世紀の「超兵器」になる可能性も
先月、 9.11以前から生物兵器攻撃を警告してきたジョセフ・リーバーマン上院議員は、これまで米国がこうした攻撃を受けなかったのは「この上なく幸運なこと」であり、ドナルド・トランプ大統領と議会に対し、バイオテロ対策を国家の優先事項とするよう呼びかけた。
2010年の研究論文で、元中央情報局(CIA)幹部ロルフ・モワットラーセン氏は、アルカイダが、盗まれた核兵器を探し出すのと同じくらい熱心に、生物兵器を手に入れることに力を入れていた、と述べている。アルカイダは結局、どちらを得ることもできず、従来の攻撃法を続けることになった。
米ニューヨーク北部のウエスト・ポイントにある、陸軍士官学校のテロ対策センター(Combating Terrorism Center)が昨年出した報告書によると、ISもまた、生物兵器の入手を強く望んでいた。ISは、モスル奪還などのときにも、初歩的な生物兵器をすでに使用しているが、その兵器によって大きなダメージを与えることができなかった。
大規模なパンデミックは現実的な脅威
意図的な攻撃がなくても、大規模なパンデミックの脅威は現実的であり、米国疾病対策センター(CDC)や世界保健機関(WHO)などの組織は、つねに発生の兆候を監視している。科学者らは、1世紀前に約5000万~1億人の命を奪ったスペイン風邪規模の深刻なパンデミックの危険に、人類はさらされていると何十年も前から警告してきた。
現代の世界には、このような感染症と戦うための技術が数多くある。が、同時に「脆弱性」もある。たとえば、飛行機を使った移動、つまり集団移動が、感染症の拡散をより加速していると主張する科学者もいる。
先述のテロ対策センターによる報告書によると、2014年に入手したISのノートパソコンには、動物から腺ペストを取り出し、使用する方法を調べた文書があった。しかし、ほかのテロ組織同様、ISが、生物兵器を使用して大量の死傷者を発生させる攻撃を行う能力を得ることは、「著しく低い」と報告書は結論づけている。