ネスレ「アイスコーヒーサーバー」の深謀遠慮 家庭で楽しむ「泡立つコーヒー」の魅力とは?

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「コク深め」発売時のCMにはフレンチの坂井宏之シェフが推奨するシーンを採用している。またこのたびの家庭用アイスコーヒーサーバーの販売促進にも、日本のトップシェフの協力を得ている。四川飯店グループオーナーシェフの陳健一氏と、トゥーランドット臥龍居オーナーシェフの脇屋友詞氏をCMに起用したほか、新製品発売の記者発表イベントにおいては、両氏が考案したアイスクレマコーヒーに合う料理やスイーツの試食会を開催した。

両氏はCMに登場するだけでなく、それぞれのレストランのメニューにアイスクレマコーヒーを加えてもいる。単品で200~280円程度と、料理メニューと比べると少々違和感を与えるような、手頃な価格で提供している。記者発表ではアイスクレマコーヒーについて、「濃淡がある中華料理の味を邪魔しない。食後に口をさっぱりさせながらも、料理の余韻を楽しめる」(陳氏)、「料理では香りが大事。泡の中から香りがふわっと立ち昇るのがいい。中華には中国茶という時代ではない。自分も、お客さんに喜んでもらえるものを目指し、革新、創造することを大事に、これまで走って来た」(脇屋氏)などと感想を述べた。

実際に「甘さ控えめ」タイプで作ったアイスクレマコーヒーを味わってみた。泡により味がまろやかになり、アイスコーヒーにありがちな鋭い苦みがあまり感じられない。陳氏による料理(バンバンジー、春野菜の炒め物など)も共に食したが、確かに料理の味を邪魔しないほか、泡があるためか、ビールのような感覚で食事に合わせられると感じた。

同社ではアイスコーヒーサーバーを9800円で販売するほか、ネット通販でペットボトル入りコーヒーを定期便で購入したユーザーには無料で貸し出す。「コク深め」については、12本1536円で、3回以上の継続購入が条件となっている。サーバーに対応する商品は、「コク深め」の無糖、甘さ控えめ、カフェインレスタイプのほか、「ネスカフェ エクセラ ボトルコーヒー」など全部で6種類となっている。「ネット通販に関しては、自社通販、他社サイトの双方で数字が伸びています。また、ペットボトルコーヒーを購入する客層には女性が多いという傾向もみえています」(永田部長)。

主婦は「ホッとする時間」を求めている

4月13日の記者発表イベントにおいてゲスト起用されたモデルの田丸麻紀氏は、家庭と子どもを持つ主婦として、そのライフスタイルが同世代女性の支持を得ているという。自身の生活におけるコーヒーについて「忙しい生活の中で余裕を持つためには、ゆったりできる時間や楽しい時間を1分でも取るのが大切。その時間にコーヒーをいれて、飲んだりする」(田丸氏)と語っていた。

育児などで自分の時間もあまりなく、家にこもりがちになってしまう主婦にとって、本格的なコーヒーを飲みながら過ごす「ホッとする時間」は、他者には想像できないほど価値があるのかもしれない。そして、エスプレッソや泡が立ったラテのように、従来は家庭で作れないとされたリッチ感のあるコーヒーを、手軽に楽しめるところにポイントがある。同社の家庭用本格的コーヒーマシンが拡大する背景に、そうした潜在ニーズをみることもできるだろう。

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