東大合格「公文式とピアノとゲーム」の結節点 中学受験期までに東大生は何をしていたのか

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おおた:ピアノを毎日こつこつ練習するって精神的には結構しんどいじゃないですか。それって公文のプリントを毎日コツコツやるのと非常に似ていると思うんですよね。やりたくないなと思う日もあるけれど、それでもやり抜く力を鍛えていく。それってまさに「GRIT」を鍛えるってことなんですよね。

テレビゲームの意外な効能

Cさん:私は習い事をあんまりやったことがなくて……。滋賀ってそんなにないんですよね(笑)。そのかわり、ゲームは結構やりました。スーパーファミコンとかプレイステーションとか。あれってバカにできないと思うんですよね。

おおた:そう! ちょっと前までゲームって完全に悪者だったじゃないですか。でも、最近は「マインクラフト」とか出てきて、教育にも生かせるんじゃないかってムードになっていますよね。そして実際に、あれってバカにできない。つまらないバラエティ番組をだらだら見ているよりも、クリエーターがものすごい気合いを込めて作ったゲームをやっているほうが、子供の創造力だって刺激されるはずだと私も思います。

Cさん:ゲームをやりこむことで、地図の見方を覚えたし、推理する力も付いたと思うし、あきらめないで根気よく続ける力も強化されたと思います。攻略本を読むことが読書代わりになったという人もいますよね。

おおた:攻略本を読みこなすのも、実は非常に高度な読解力を求められます。地図があったり、グラフがあったり、イラストがあったり、箇条書きの要点があったり、自分に必要な情報がどこにあるのかを探す訓練になりますよね。

Bさん:私もゲームは結構やってましたね。大学受験の最中にも気分転換によくゲームをやっていました。ゲームって悪くないと思うんですよ。

『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』(おおたとしまさ著、祥伝社)。数々の学校や塾を論じてきた著者が、「どうして公文式で学力が伸びるのか?」「どんどん進む子とやめてしまう子の違いは何か?」に切り込む。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

おおた:私はよく名門私立中学校みたいなところに取材に行きますけど、超有名進学校でも休み時間にはみんなやってますよ、ゲーム。スマホだったり、プレイステーションポータブルみたいなものだったり。東大生でも多いですよね、ゲームをやっている人は。

Cさん:多いです。

Aさん:僕はゲームはほとんどやったことがなくて。興味がなくて。外で体を使って遊ぶのが好きでした。外遊びで友達付き合いも学んだし、体も鍛えられたと思うので、習い事だけじゃなくて、そういう経験も必要だと思います。

おおた:そうですね。ゲームが好きなら徹底的にゲームをやれば、それはそれで得るものがあるし、外遊びにはもちろん、体力だけでなく社交性を高める効果がある。結局子供はどんなことも「学び」にしてしまうということですね。今日はありがとうございました!

18歳の大学受験で最大出力を出そうとするのなら、そのための最短ルート的な子育ての方法というのはきっとあるのだろう。しかし人生は18歳で終わりではない。一見回り道に見えることが、あとから大きな意味をもつってことは、人生の中でいっぱいある。子供は大人が思う以上にたくましい。「あれもさせなくちゃ、これもさせなくちゃ」と強迫観念にとらわれるよりも、「どんなことでも糧にする」くらいの気持ちのほうが、器の大きな子供が育つのではないだろうか。
おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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