右傾化進んでも世界経済が割と好調な理由 ただしフランスとイタリアの選挙次第

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欧州ではオーストリア、オランダ、ドイツと極右政党が選挙に敗れ、反グローバリズムの動きは弱まったかに見える。だが、今後フランスとイタリアで行われる選挙のどちらかでポピュリズム政党が勝てば欧州連合(EU)は崩壊しかねず、世界中が巻き添えを食う可能性がある。

フランス大統領選の有力候補マリーヌ・ルペン氏はEU打倒を掲げる。世論調査によれば、親EU派のエマニュエル・マクロン前経済相が5月7日の決選投票でルペン氏を破る見通しだが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がルペン氏を支援しており、予断を許さない。

ユーロ離脱望むイタリア国民

さらに心配なのがイタリアだ。ポピュリズム政党を率いるベッペ・グリッロ氏は世論調査でリード、3割超の得票が予想される。ルペン氏同様、グリッロ氏が掲げるのは欧州通貨ユーロからの離脱。通貨統合後、同国の1人当たり所得は下落し、経済見通しは暗い。大多数の専門家が自殺行為と考える中、一日も早いユーロ離脱を望む国民が増えている。

世界経済は好転しており、賢明な政策運営を行えば、今後数年は相当の改善が見込める。だが、ポピュリズムは依然として脅威であり、経済成長が十分に速いペースで軌道に乗らないかぎり、その脅威を押しとどめておくことはできないだろう。

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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Kenneth Rogoff

1953年生まれ。1980年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。1999年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001〜03年にIMFのチーフエコノミストも務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

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