新生「スバル」の前に立ちはだかる米国の壁 環境規制あっても「走りの楽しさ」は保てるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここ10年間のスバルは、「技術者がやりたいことを探求し、いい車を造れば売れるというかつての姿勢」(井上PGM)から変わり、消費者目線を重視してきた。今回の社名変更に込めたように、現場でも、単なるモノづくりの会社からの脱却を進めている。

結果も伴ってきた。国内外で着実に販売を伸ばし、2016年度は初めて販売台数100万台の大台に乗る。

とはいえ、年間1000万台を売るトヨタ自動車や独フォルクスワーゲンの10分の1の規模だ。スバルのようなメーカーは、独自の価値で生き残るしかない。

国内では「安心と愉しさ」をキャッチフレーズに、衝突安全性と「アイサイト」に代表される予防安全性を、米国では4輪駆動車やSUVという商品群でレジャーシーンとの相性のよさを武器にブランドを構築してきた。

ブランド築き、業界屈指の高収益に

業界屈指の営業利益率が、その成果だ。工場の高稼働を維持し、余剰在庫を持たず値引きも最小限に抑えてきた。スバルの営業利益率は安定して10%を超えており、2016年度も12.3%を見込む。

主力市場の米国は、全体では減速感が漂うものの、スバルは依然好調が続く。今年3月までの64カ月連続で、販売台数が前年同月を上回っているのだ。2017年暦年でも前年比9%増で過去最多の67万台を狙う。

米国ではスバル車人気で在庫が足りないため、現地工場の生産能力を従来の年20万台から、2016年末に年40万台弱へと倍増させた。「現地のディーラーからはまだ車が足りないと言われる。やる気があるんですか、とせかされる」(吉永社長)という“ぜいたくな悩み”はまだ続きそうだ。

次ページ一方で”深刻な悩み”も
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事