シリアに対するトランプの「悔い」とは何か アサド政権への考えを改めた米大統領
2013年、シリアがダマスカスでサリンなどの化学兵器を使用したのではないかと疑惑があり、イギリスが国連安保理に、化学兵器使用を根拠とした対シリア武力制裁容認決議案を提出したことがあった。
これは中国とロシアの反対で合意に至らなかったが、当時のオバマ大統領は軍事介入を決意し、米上院外交委員会も、地上軍を投入しないなどの条件付きで軍事行動を承認した。つまりこの段階で米軍は、シリア攻撃「計画」を作成していたことになる。
ところがオバマ大統領は、ロシアの斡旋によるシリアの化学兵器廃棄案に合意し、この時は軍事作戦を行わなかったのである。
米国の「スピード攻撃」が可能だったワケ
この時作られた作戦計画は廃棄されず、そのまま存在していた。トランプ大統領が限定攻撃というオプションについて指示したとき、中東の専門家でもあるマティス国防長官やマクマスター国家安全保障担当補佐官は、すぐにこの計画を取り出し、修正を加えて大統領に提出したはずだ。だからこそのスピード攻撃であり、またこの2名が主導して今回の作戦を遂行したと考えることができる。
以前フォーサイトで、トランプ大統領は何よりもまず、イスラム国(IS)打倒を第1に考えているということを述べた(2017年2月21日「トランプ外交『最優先』は『IS打倒』:『対中国』にあらず」)。
改めて簡単に説明すると、トランプ大統領はその就任にあたり、「イスラム国などのテロ集団を打倒することは我々の最優先事項」であり、そのためには「古い敵を友」として共に戦う、と宣言した、というものだ。