CSR(企業の社会的責任)と財務の両面から幅広いステークホルダーから「信頼される会社」を見つける「東洋経済CSR企業ランキング」。11回目となる今回は『CSR企業総覧』に掲載しているCSR136項目、財務15項目で総合評価を行った(ポイント算出方法など、ランキングについての解説はこちら)。対象は『CSR企業総覧』2017年版掲載の1408社だ。
トップは3年連続4回目の富士フイルムホールディングス(総合得点569.7点)。2012年1位、2013年2位、2014年2位、2015年1位、2016年1位と本ランキングでは「敵なし」といった状態だ。
部門別では、企業統治+社会性が99.4点で2位。ビジネスの利益よりもコンプライアンスの優先を徹底する「オープン・フェア・クリア」の精神を徹底。行動規範を理解するためのガイドブックの全社員への配付やコンプライアンス役職者研修、職場説明会を実施し、社員全体の意識を高めている。CSR委員会の委員長は代表取締役社長・COOが務め、幅広いCSR活動をトップダウンで推進している。
2015年度の内部通報は142件
さらに社内・社外に内部通報窓口を設置し問題が小さなうちに解決できる体制を整備。2015年度の通報142件には相談レベルのものも少なくないが、通報者の権利保護を徹底しながら風通しのよい職場を目指し、手間暇かけて取り組んでいる。
スイスのNPO「FIND」と共同で、高い診断能力を有する開発途上国向けの結核迅速診断キットの開発に着手するなどBOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネスへも積極的に挑戦している。
人材活用も94.2点(18位)と高得点。各種資格取得や技能検定を目的とした研修の実施や通信教育等の会社支援といった各種教育体制も充実している。社内公募制度や企業内ベンチャー制度など社員のチャレンジを応援。コアタイムが10:30~15:10のフレックスタイム制度や子が小学校3年生までの子育て社員や介護目的で利用できる短時間勤務制度などワーク・ライフ・バランスの各種制度も先進的だ。
環境も95.9点(24位)と高い。地球環境保全の取り組みとして再生可能エネルギー導入も進める。国内外の主要工場・事務所にはソーラーパネルを設置し太陽光発電利用をグローバルに推進。オランダ工場では敷地内に風力発電設備を設置するなどCO2排出量の削減に力を入れる。パソコン、文具・事務用品などのオフィス用品のグリーン購入率100%は2003年度から継続して達成。エネルギー関連製品などの環境ビジネスも幅広く展開している。
これら各分野に財務の280.2点(18位)の下支えもあり全体的にバランスよく得点を上げた。
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