42項目で評価した人材活用は花王(総合9位)、SCSK(同143位)、SOMPOホールディングスの3社がトップだった。
SCSKは3年連続トップ。同社の有休取得率は2011年度65.0%から2015年度95.3%まで上昇。花王は総合でも9位。女性管理職比率8.8%と女性活躍が進んでいるのと併せて男性の育休取得率も40%と高い。
SOMPOホールディングスは女性管理職比率12.3%、同部長比率3.8%、男性の育休取得率61.7%などが高かった。
4位は第一生命ホールディングス(98.8点)。5位は日産自動車、中外製薬、SMBC日興証券の3社(97.7点)となった。
28項目で評価した環境はトップがキヤノン、デンソー、リコー、ホンダ、日産自動車の5社。
キヤノン(同4位)はISO14001を国内・海外とも100%取得。事業所単位でなく複数の工場やグループ会社なども含めてひとつの組織体として認証を受ける「統合認証」取得を2004年から推進。2015年12月時点で自社・世界40の国・地域のグループ会社計127社で取得している。
環境リスクマネジメントの取り組みも先進的。事務用品等のグリーン購入100%、購入電力のほぼすべてが再生可能エネルギーなど幅広い活動を行っている。
企業統治+社会性は「企業統治37項目」と「社会性29項目」の合計得点でランキング。トップは3年連続でリコー(同9位)。環境と合わせて2部門で首位となった。グループ経営における重要なリスク項目は毎年見直しを行い、内部統制委員会で承認を得るだけでなく、各リスクに対してリスク主管部門を定める先進的な仕組みを導入している。
ほかにも外部有識者を招いたステークホルダーダイアログを毎年開催し、統合報告書のレビューを実施。翌年度の作成に活用するなど外部との対話を重視している。
2位は富士フイルムホールディングス、帝人の2社(99.4点)。4位アサヒグループホールディングス(98.8点)が続く。
財務部門は2月に発表した「新・企業力ランキング」と同じデータを使用。収益性、安全性、規模の3分野、合計15項目での評価だ。トップはヤフー(287.0点)。2位HOYA(285.0点)、3位村田製作所(284.6点)、4位ファーストリテイリング(283.8点)と続く。
あまり公開されなかった情報開示が求められる時代に
SDGs(持続可能な開発目標)など社会の課題を企業の力で解決していこうという動きが年々強まっている。一方、株式投資などでいわれるESG(環境・社会・ガバナンス)では法令違反やガバナンスの体制、女性管理職比率、残業時間、有休取得率などこれまであまり公開されていなかった情報の開示が求められるようになってきた。
企業は従業員など関わる人を適切に活用し事業活動を行い、環境面などで社会にできるだけ迷惑をかけずに一定の業績を上げることが前提。その上で社会課題解決をビジネスとしてあるいは一部はそれ以外として行う。そして、こうした状況が投資家など外部からもわかるよう関連情報(ESG情報)の開示が必要だ。
大手になるほど、有名になるほど幅広い関係者(ステークホルダー)からこのように見られる傾向が強まっている。
こうした活動や開示がうまく組み合わさったとき、初めて「信頼される会社」と呼ばれるようになるとわれわれは考える。東洋経済CSR調査では「信頼される会社」を見つけるための基本的な情報提供を行うため今後も幅広くCSR情報を収集し、その参考になるよう評価も行っていくつもりだ。
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