東洋経済が1992年から毎年算出し、『都市データパック』で公表している「全都市・住みよさランキング」。今年5月時点の全国784市(全783市と東京特別区)を対象とした直近08年ランキングのトップ3は、守谷、成田、真岡となった。
1位の守谷は茨城県の南部、「つくばエクスプレス」で東京都心(秋葉原)まで30分余のニュータウンのまち。東京通勤比率は2割で、人口増加率・新設住宅着工とも全国トップクラス。所得水準も北関東で最高だ。2位の成田(千葉県)は、1978年の成田空港開港以来、日本の空の玄関口として関連サービス・流通産業の集積と人口増が進む国際空港都市。3位の真岡は、栃木県の南東部、東京100�圏に位置する農・工・商のバランスがとれたまちで、人口が着実に増加。自動車など機械・金属工業を基幹産業とし、隣接する宇都宮の10%通勤圏でもある。
この「住みよさランキング」は、安心度、利便度、快適度、富裕度、住居水準充実度の5つの観点から16の社会経済指標--安心度:【1】病床数*、【2】介護老人福祉・保健施設定員(対65歳以上人口)、【3】出生数(出産年齢女性人口当たり)、利便度:【4】小売業販売額*、【5】大型店店舗面積*、【6】金融機関数*、快適度:【7】公共下水道等普及率、【8】都市公園面積*、【9】転入・転出人口比率、【10】新設住宅着工戸数(世帯当たり)、富裕度:【11】財政力指数、【12】地方税収入*、【13】課税対象所得額(納税義務者1人当たり)、住居水準充実度:【14】住宅の平均延べ床面積、【15】持ち家世帯比率、【16】住宅地平均地価--を採り上げ(*は1人当たり)、各指標について全国平均値を50とする偏差値を算出。各都市の単純平均を指標化したものである。
上位50市には、関東から近畿にかけての大都市圏内の中規模都市や地方の生活圏中心都市が並び、北海道、山陰、南九州、沖縄の各地方の都市はランク入りしていない。都道府県別にみると最多は愛知の12市。また、県庁所在地では福井・金沢・富山と北陸の3都市が顔を揃えた。地方圏の上位都市は、医療・福祉など安心や商業集積など利便性、住居水準の面での好ポジションがめだつのに対し、大都市圏の都市では、財政力や所得水準といった富裕度や都市基盤整備での高順位が総合順位を引き上げる傾向がみられる。
一方、下位50市は、九州・沖縄の18市、四国の7市をはじめ、各道県内でも県庁所在地等中核的な都市から離れた地域の都市が大半で、半島や離島地域、旧産炭地の都市、「平成の大合併」で誕生した都市機能集積の規模と質の点で劣位にある新市も目立つ。また、人口規模が総じて小さく、13市が人口3万人未満。しかも、47市で人口が減少(00~05年)、5%超の大幅減少都市も19を数える。
ともすると順位だけが独り歩きしがちだが、都市単位の1人当たり指標やストック指標が中心であるため、広域化している生活行動の現状や自治体等の政策的な努力が直接的には反映されにくい傾向がある。もとより「住みよさ」の評価軸・手法・指標としてはさまざまなものが考えられる。地域の活力を測る一試算結果としての活用が望まれる。
(『都市データパック』編集部)
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