セブン伊藤氏「ヨーカ堂閉鎖は粛々と進める」 創業家出身、初の決算会見で何を語ったか

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セブン&アイの抱える経営課題の一つが、ヨーカ堂の再生であることは間違いない。ヨーカ堂再生は本当に可能なのか(撮影:今井康一)

伊藤常務はハトマーク復活について「マークを変えることではなく、中身を変えていくことが重要」であるとしたうえで、「長年培ってきた看板であり、それを大事にしたい社員たちの気持ちは強い。各店舗が新たなスタートしたときに変えていこうという方針を出している」と述べた。

「集う場所」としてGMSを再生

2016年度のヨーカ堂の営業利益は5200万円とわずかながら黒字を達成。前年度の139億円の営業赤字から大幅に改善したが、その中身は広告宣伝費など経費圧縮によるところが大きい。2017年度は40億円の黒字を見込むが、経費圧縮と同時に、既存店をいかに回復するかもポイントになる。

伊藤常務は既存店の立て直しについて、「地域におけるニーズは必ずある。Eコマースが発達して、リアルの店舗に来る方は減っていくかもしれないが、物販だけではなく、集う場所というGMSのあり方を模索したい」と語った。

1年前の決算会見のときは、前会長の鈴木敏文氏がトップ退任を電撃発表。そして、今回の決算会見の席には創業家出身の伊藤常務が座っていた。「自分が伊藤(家)だからということ考えていない。自分がほかの方と違うのは、中長期的に物事を見ながら、自分の組織の栄達よりも、会社の成長と安寧を願う要素が強いところだ」(伊藤常務)。グループ内で役割を増す伊藤常務の意向が、今後のセブン&アイの戦略を左右する局面もありそうだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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