夫の隣で起業する30代女子の「小さな野心」 人生100年時代こそ目の前の現実に疑問符を
現代は、もっとやれることがあっても「生きていくことだけはできるから、やらない」というスタンスの人が多いんだろうとも思います。昔と違って食べ物もありますし、医療も発達していますから、ただ100年生きようと思えば生きられますからね。でも、せっかくなら、時間が過ぎるのを待つのではなく、時間を作ることを考えて、楽しみながら過ごしたい。
そのためには、その楽しみをいかに自分から作り出して、自分のものにして、次につなげるかというリ・クリエーションの視点が必要だと思います。単に楽しむだけではなく、まずは気になっていたことを勉強して深めてみるなどもそのひとつですね。
ノマドという言葉がはやったとき、「会社を辞めるのがカッコイイ!」というイメージが広がりましたけれど、私は、それだけではないと思ったんです。ただ「カッコイイこと」「楽しいこと」をやれたらいいという感覚では、何も生み出せませんし、次につながらない。どこかの誰かが「これがいい」と決めた情報に乗せられてしまうだけということもありますから。
「思い切って会社を辞めて、ここから何かを探します」と言う人もいますけれど、いきなりリセットするのでなく、まずはその環境の中で自分の考えを深めてみる。そうすれば、もしかしたら仕事が面白く変化するかもしれないし、何かよい組み合わせが見つかるかもしれない。
ただ思い切って飛び込む、リセットすることだけが正解ではなく、100年続くからこそ、いかに目の前のことを自分のものにしていくか、戦略を立てることが大事だと思います。私が起業したのも、この考えからなんです。
起業なら転勤してもリセットにならない
起業したのは大学卒業の1年半後でした。最初はそんなつもりはありませんでしたが、大きなきっかけとなったのは、夫の存在です。
21歳のときから付き合っていましたが、私がまだ就職活動中の学生だった頃、彼はすでにプロのアスリートとして活躍していました(※村上さんの夫はプロサッカー選手の都倉賢氏)。デート中も、彼はファンの方々に取り囲まれることがあるんです。
そんなとき、一緒にいる私は、何もないただの大学生。「この人の彼女で、私には何もない」……そう思うと、もう顔を隠したくなるぐらい恥ずかしくて、自信がなくて、申し訳ないというコンプレックスを抱えてしまっていました。就職活動が思うようにいかず、そんな気持ちに一層、拍車がかかっていたのかもしれません。
そこから「彼を支えるためには、もっと自分に自信の持てるようなところがなきゃいけない」と考える自分と向き合うようになりました。当時の彼は、いま思えば普通の21歳よりは収入があったのかもしれませんが、結婚してそれに頼るというのではなく、自分で何かやりたい、と。
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