日立にアベノミクス効果、「再稼働」も追い風 第1四半期は減益だが、上半期は業績上振れ

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中国市場については景気後退が懸念されているが、「生活インフラへの投資は、中国中部や西部で力強い」(中村副社長)と説明。日立も中国・成都に昇降機の工場を建設したばかり。建設機械でも都市建設に使われる油圧ショベルの需要が、底打ち傾向にあるという。

さらに追い風が吹き始めたのは、国内の原子力事業。国内原子力発電所の稼動停止に伴い、日立の原発保守事業は凍結状態で、かつてない苦境が続いていた。

原発「再稼働」への動きも追い風に

しかし、7月8日に施行された「新規制基準」に沿って、原子力発電所は再稼動に向けて動き出している。

原子力規制委員会の新規制基準では、放射線物質を除去するフィルター付きベント装置の設置が義務化されており、すでに日立も受注しているもようだ。前2013年3月期は赤字に苦しんだ国内原発事業だが、今14年3月期は、下半期(13年10月~14年3月)にかけて急改善が見込まれそうだ。

期初計画に比べれば、第1四半期の滑り出しは好調だったといえる日立。ただ、会社側は今回、14年3月期の通期見通しは据え置いたままだ。

世界経済の動向や為替などの不確定要素が強いことに加え、懸念材料が2つある。

1つは情報・通信システム事業で、前期から赤字案件を引きずるなど苦戦を強いられている。さらに海外のインフラプロジェクトでも、一部コスト増が懸念されるプロジェクトを抱えている。

もともと会社側の期初計画は下半期偏重であり、達成のハードルは高い。これらのマイナス材料を円安効果(1ドル=95円想定)や上期の“貯金”で何とか乗り切れるかどうかが、今期の業績を占うポイントとなりそうだ。

(撮影:梅谷 秀司)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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