志望校選びで念入りに「校長」を見るべき理由

大きく伸びた3つの中高一貫校の秘密

「アジャイル」という言葉がある。ITやクラウドと呼ばれる分野・業界でのキーワードであり、「機動性のある、機敏な」という意味合いから、ビジネスの世界では「すぐに行動し、すぐに軌道修正する」ことを表現する言葉として使われている。動きの遅い学校・教育業界では珍しく、大妻中野は「動いて」「やってみて」「すぐ直す」。それを可能にしているのが、宮澤校長の実行力。一緒に改革を進める諸橋隆男教頭は言う。

「宮澤校長が学校でいちばん働いているということを皆が知っていますからね。ですから『この校長の言うことなら聞いていこう』という、厚い信頼を土台としたムードが、職員、保護者を含めた学校全体にあるのです」

宮澤氏率いる学校への信頼、期待。保護者を含めて学校が1つになっているからこそ、大妻中野の改革はスムーズに急ピッチで進んでいる。

2025年の出生数予測は、約88万人。いわゆる団塊の世代の出生数の約260万人と比べると、およそ3分の1となる。単純に考えれば、今ある幼・小・中・ 高・大学などの「学校」は、かつての3分の1の数で足りるということだ。

「私立大学の約4割が赤字経営」ともいわれる現在、私立中学校や高校も、従来のやり方で生き残れるとは限らない。実際、それに気づいた学校は、大胆な改革に乗り出している。

日本の高校に「カナダの高校」を輸入

東京都杉並区にある文化学園大学杉並中学・高等学校(文杉)。松谷茂校長は、学内にカナダの高校を「輸入」してしまった。

同校は、国内で唯一、カナダのブリティッシュ・コロンビア州(BC州)の教育を採用した Bunka Suginami Canadian International School(BSCIS)というインターナショナルスクールを併設する女子校だ。この「ダブルディプロマコース」へ進めば、日本の高校卒業と同時に、カナダの高校卒業資格が取得できる。そのため、もし生徒が海外の大学に進学を希望する際には、TOEFLの受験やSATといった、一般の「海外留学準備」などを省くことが可能となっている。

この学校併設には、いくつものハードルがあった。まず、BC州に、文杉がその教育をするに値すると認められること。実際100校の応募が世界中からあり、認められたのは文杉を含め3校だけだった。日本ではもちろんここだけだ。次に、日本の文部科学省から認可を受けること。日本のお役所が「初」がつくことに慎重なのは、今更言うまでもないだろう。そして、学内での意見の調整も難航した。

「『日本人はオールイングリッシュの授業についていけないのではないか』というような反対も多かったのです。でも私としては、ちゃんとした英語教育を、今までの教育方法の影響を受けない形でスタートしたかった。ダブルディプロマは、まだ誰も挑戦していなかった。ブルーオーシャンだったのです」

現在は、中学英語にもオールイングリッシュ授業を導入している。松谷校長の「新しいことにすすんで飛び込んでいく」力が、「日本初のダブルディプロマコース」を成し遂げた原動力となったのだ。

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