志望校選びで念入りに「校長」を見るべき理由 大きく伸びた3つの中高一貫校の秘密

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学校も企業と同じ。経営者次第で学校が、生徒が大きく変わる。そのことを教えてくれるのが、東京都新宿区にある目白研心中学校・高等学校である。

同校の校長である松下秀房氏、教頭である長谷良一氏は、学校改革のために2012年に他校から招聘された。それから4年、改革の成果は「生徒の成績」という数字として現れるようになった。より偏差値の高い大学への進学率が目に見えて上がったのだ。

2人がまず手をつけたのは学校の「文化」。それまでは「英語に力を入れている」といっても、何にどのように力を入れて、どのような結果が出ているのかがわからない状態だった。「よくしたい」という思いだけが、空回りしていたという。

「仕事をしていくうえでの、当たり前の考え方を導入しました。PDCA(Plan Do Check Act)サイクルを回す、つまり計画し、実行し、反省してフィードバックして次につなげるといったしくみです。何が何パーセントどうなっているのか、と数字で表すこともしていなかったので、まず、計画をつくることから始めました」

学校にPDCAサイクルを持ち込み、結果を「見える化」していく。それが松下氏が最初に取り組んだことだった。学習支援センター開設、Super English Courseの設立の準備、朝テスト、放課後の講習。取り組んだことは膨大にあった。

改革の成果は、4年たった今、数字としてはっきり現れてきた。2012年に39人だった「日東駒専、中堅有力私立、GMARCH、早慶上理、国公立」の合格者が、2016年には110人と躍進したからだ。この間、たったの4年。しかし、松下氏は「トップ校の合格者数は、問題ではない」と言う。(日東駒専は日本・東洋・駒澤・専修、中堅有力私立は成蹊・成城・明治学院・獨協・國學院・武蔵、GMARCHは学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政、早慶上理は早稲田・慶應義塾・上智・東京理科を指す)

「私はトップ校に何人入れたのかを、大きく言うつもりはないのです。それはほんの一部であって、その学校の教育力を表しているのはマジョリティがどうかだと思います。今の目白研心にとっては、日東駒専レベル以上に合格する子が増えることが非常に大切。平均的な生徒が、どこへ進学できるかのほうが伝えるべき情報だと考えています」

行く価値がある学校かどうかは校長でわかる

『志望校は校長で選びなさい。』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

私立中高一貫校は、学校長の権限が強い。そのため、校長の決定1つでガラッと学校の雰囲気や方針が変わる。改革をしている学校には、必ずそれを率いるリーダーがいる。

学校外の一個人が学校改革をつぶさに見極めることは難しいかもしれないが、リーダー1人にしぼって見ることは、さほど難しいことではない。企業の動向を判断するために経営者に注目するように、学校を判断するために、校長に注目する。そうすることで、その学校が時代に取り残されずに生き残っていけるかどうかが、手に取るように見えてくるものだ。

私立校への進学というのは、進学するために通うであろう塾の費用なども含めると1000万円ほどの大きな「投資」だ。それを偏差値という数字だけを見て決めるのは、あまりにも危険すぎる。その学校を率いるリーダーに注目すれば、その学校がこれからの時代に存続できる学校かどうか、しっかり判断することができるはずだ。

(構成:黒坂真由子)

沖山 賢吾 沖山教育研究所所長・進学コンサルタント

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おきやま けんご / Kengo Okiyama

1977年東京都八丈島生まれ。都立戸山高校・早稲田大学社会科学部卒業後、東大難関大受験専門永田塾で英語講師として勤務。「御三家」を中心とした中高一貫校の生徒指導や、校舎長として営業・総務などの教室運営全般も経験。リソー教育グループに再就職後は、塾のシステムや利用法を説明する営業を担当。進路や勉強法など、保護者との面談も5000件を超える。現在は、沖山教育研究所を構え、16年の教育業界における経験・体験・体感を基に、将来につながる「時間とお金」の使い方を指南する進学コンサルタントとして活動中。著書には『できる子はどっち?』(KADOKAWA)などがある。

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