「単語力」を伸ばさなくても英会話はできる 大切なのは「かみ砕き&言い換え力」だ

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私が考えた「よろしくお願いします」の言い方は、以下のとおりですが、先ほども述べたとおり、正解はひとつではなく他にもさまざまな言い方があるのを理解したうえでご覧ください。

【解答例】
I’m looking forward to next week. (来週はよろしくお願いします。)
I’m looking forward to working together. (今後ともよろしくお願いします。)
Could you take care of that for me? (あの件をよろしくお願いしますね。)
Could you take care of that customer for me? (あちらのお客様をよろしくお願いします。)

 

いかがでしょうか。ポイントは「よろしく」という日本語の言葉に含まれる真の意味を理解することです。まず、何について「よろしく」なのか。あるいは、裏に隠された意味は何か。直訳を探すのではなく、自分が今言おうとしている日本語はどういう気持ち、意味を伝えようとしているのかを考えて、「英語をつくる」ことを心がけることが大事です。

そうすることによって、どんなに日本的な言い回しで、ピタリとくる英語が存在しない日本語でも、英語で言えるようになります。

英語⇒日本語から、日本語⇒英語への転換の時

英語が話せない理由として、語彙力の不足を挙げる人がたくさんいますが、それって本当にそうなのでしょうか? 私は大いなる疑問を持っています。

英語の語彙には2種類あります。ひとつは見たり聞いたりすると、意味がわかる語彙。これを英語では「receptive vocabulary」といいます。もう1種類は「productive vocabulary」といって、自分で実際に書いたり、話したりするときに使える語彙のことです。

日本の学校教育では、「receptive vocabulary」を増やすことにばかり熱心ですが、英語が話せるようになるためには、「productive vocabulary」を増やすことが重要です。

「productive vocabulary」を増やすのに、私がお勧めしているのは、皆さんが日本語の会話でよく使う言葉を英語で言えるようにしておくことです。

多くの人が日本語の会話でよく使う言葉、たとえば「懐かしい」を英語で表現するとどうなるでしょう? 多くの人が「1対1」の直訳で「nostalgic」という単語を思い出したのではないでしょうか。

しかしすでに説明したように、すべての日本語の単語や表現にピタリとはまる英語があるわけではありません。ですから、単語1語ではなく、文章で表現したほうがいいのです。

「懐かしい」だったら、私はこんな風に言います。

This brings back memories.(これは懐かしい)
This song brings back memories.(この歌懐かしい)

 

日本では、単語のカードを作るとき、英語を見てどういう意味かを考える「英語⇒日本語」の順番で作る人が多いようですが、これからは順番を「日本語⇒英語」に変えてみてください。これだけで、皆さんの英語プロデュース能力はぐんと高まります。

特にこのカードを利用して、皆さんが日本語で使っているコアフレーズを英語で言えるようにしておくと、英語を話す能力もあっという間に伸びます。ぜひ、やってみてください。

スティーブ・ソレイシィ ビジネス・ブレークスルー大学教授

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Steve Soresi

ソレイシィ研究所株式会社代表取締役社長。アメリカン大学(American University)卒業。スピーキングを中心とした実践的な英語コミュニケーションの指導に携わり、2009年に国際言語としての英語の教授法をテーマにした研究で博士号を取得。1999年に始まったNHKテレビ『スティーブ・ソレイシィのはじめよう英会話』で人気を博す。2005年に米国フロリダ州の「TESOL(英語教育学会)」で最優秀論文賞を獲得。2012よりNHKラジオ『英会話タイムトライアル』のメイン講師。代表的な著書に『英会話なるほどフレーズ100』『英会話きちんとフレーズ100』『英会話ペラペラビジネス100』(アルク)、『英会話1000本ノック』『英会話1000本ノック<ビジネス編>』(コスモピア)、『英会話ピッタリ表現でぃくしょなりぃ』(語研)などがある。

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