豊洲問題で「環状2号線」五輪前開通がピンチ 「BRT」運行の五輪主要ルートが建設棚上げ

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しかし、これらの工事は築地市場の移転が前提となる。それが延期となったことで、道路建設も棚上げになっている状態だ。

都心と晴海・有明地区を直結するBRT(バス高速輸送システム)のルート(東京都の資料をもとに作成)

都心と有明地区を結ぶ公共交通としては新交通システム「ゆりかもめ」がある。しかしゆりかもめは、2020年には選手村が開設され、それ以降は住宅地として整備される晴海地区は通らない。都心-晴海-有明を結ぶ路線が必要なのである。環状2号線は単なる新設道路以上の役割を持っている。東京都心と晴海・有明地区を直結するBRT(バス高速輸送システム)を走らせ、オリンピック・パラリンピックのメインルートに位置付けようとしているからだ。

すでに都心側のメインターミナルは、地下に環状2号線が走る虎ノ門ヒルズと決まっている。虎ノ門ヒルズに直結する東京メトロ日比谷線の新駅が建設中であり、2020年に供用開始と言われている。

一方、車両については燃料電池バスの投入が噂されている。トヨタ自動車は2月、トヨタブランドで販売する最初の燃料電池バスを東京都交通局へ納車した。今後同社は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京を中心に100台以上の燃料電池バス導入を予定しているという。

燃料電池自動車は日本が世界に先駆けて実用化した先進自動車技術であり、世界に誇れる存在である。2020年には数あるバス路線の中でもメインルート的な存在になるBRTへの導入は、十分考えられることである。

進む準備、残るは築地の道路だが…

つまり周辺環境は着々と準備が進んでいる。残るは築地市場敷地を通過する道路の建設だけと言ってよい。

東京都では市場移転延期発表後の昨年11月、すでに2020年までのトンネル完成は難しいと判断しており、地上ルートの検討に入っているという。しかし前述の暫定道路は狭く、カーブも急であり、BRTの通行には適さない。

さらに地上ルートの場合、現時点でも渋滞している新大橋通りを通過しなければならない。都では信号制御などで渋滞問題を解決していくとしているが、そのような技術があれば多くの渋滞がすでに解消しているはずではないだろうか。

別ルートも難しい。銀座から勝どき橋を渡り晴海に抜ける晴海通りもまた、交通集中に悩まされている。北側にある佃大橋は都心に直結しておらず、こちらも新大橋通りとの接続地点は混雑する。東京駅八重洲口からまっすぐ佃地区へ抜ける道路は狭く、住宅地を抜けるのでBRTには向かない。

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