豊洲問題で「環状2号線」五輪前開通がピンチ 「BRT」運行の五輪主要ルートが建設棚上げ

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BRTはその名が示すとおり、バスに鉄道並みの定時性・速達性をもたらすシステムだ。そのためには専用レーンの用意が不可欠である。日本ではBRTを誤解している人が多く、連節バスを用意し、バスロケーションシステムと呼ばれる情報技術を導入すれば良いという考えも見られるが、それでは定時性・速達性は実現できない。何よりも大事なのは専用レーンの確保であり、そのためには環状2号線のような幅広い新設道路が理想的である。

築地市場の建造物は背が低いので、高架橋で超えるという案が出るかもしれない。しかし橋を架けるには相応の歳月が必要であることを頭に入れなければならない。たとえば先日工事用車両に限って通行が許可された晴海-有明間の豊洲大橋は、4年間の事業年度を要している。

東京オリンピック・パラリンピックのための都市交通整備は、以前からさまざまな案が挙がってきた。当初はLRT(次世代型路面電車システム)で結ぶ案などが挙がったが、議論を重ねるうちに時間切れとなり、車両も施設も安価かつ早期に整備できるBRTに落ち着いた。

2020年へ、一刻も早い決断を

ロンドンではオリンピック・パラリンピックを環境大会と位置づけ、自転車レーンやサイクルシェアリングを急ピッチで整備した。リオデジャネイロは開催に合わせてLRTやBRTを導入し、地下鉄の新路線もギリギリで開通させた。海外の決断力に感心する。

2020年までまだ3年あるという数え方もできる。しかし遅れの影響は少しずつ出始めている。

京成バスが千葉県の幕張地区で運行する連節バス(筆者撮影)

BRTの運行は東京都と京成バスが共同で行う予定だ。しかし先週末、両者が運行会社の設立を延期する方針を固めたというニュースが入ってきた。築地市場から豊洲市場への移転延期で、運行ルートの整備の見通しが立たなくなりつつあるという判断かもしれない。

市場の移転は、時間の経過に比例して経費がかさむものの、タイムリミットはない。しかし東京オリンピック・パラリンピックは2020年の開催が決まっており、遅れは許されない。もちろん開催そのものを返上するという手段もあるだろうが、もし開催を前提とするなら交通整備は不可欠であり、そのためにも東京都には一刻も早い決断が望まれる。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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