第3は、米国の予算案だ。3月16日にトランプ政権が来年度予算案の概要(A Budget Blueprint to Make America Great Again)を発表した。同提案は「裁量的支出」のみをカバーするいわば「たたき台」。これまで期待されていた税制改革、インフラ投資、財政見通しなどは含まれておらず。正式な大統領の予算案は5月に発表されるとのことで、市場への影響は限定的だった。
今回の概要のポイントは、環境保護や海外への援助、貧困対策などといった歳出が2〜3割削減された一方で、国防関連、軍事費や国境の壁が大幅に増額されている。これまでの主張を踏襲した内容であり、サプライズはない。民主党は当然反対しているが、問題は与党共和党議員の間でも同内容に反対する議員が出始めているという。このままでは議会を通らないため、修正される可能性は非常に高いうえ、トランプ大統領と議会の間の溝が深まるようであれば、予算審議には相当な時間を要するだろう。
米国の減税や投資が期待外れで市場が失望も
通常、3月に予算審議が行われ、決議は4月15日が期限だが、減税なども盛り込んだ大統領による具体的な予算案(予算教書)が5月に発表され、これを受けて議会が予算決議案を作成・審議するとなれば、8月の議会休会(recess)までに減税法案を可決することは困難になるだろう。減税法案の可決・成立は早くても9月末から10月初めになる公算が大きい。
2018年度予算は2017年10月から2018年9月末までだが、減税やインフラ投資の実行が大きく後ずれする、あるいは少額にとどまれば、市場の失望につながるだろう。この場合、FRBの利上げペースも遅れるとの見方から、ドル安が進行しよう。今後トランプ政権と議会とのやり取りには注意したい。特に下院議長のポール・ライアン氏の発言には注目が集まることになりそうだ。
4〜5月のこうしたリスクイベントは、いずれも大きな波乱要因とはならないというのがメインシナリオだが、仮にサブシナリオが実現した場合にはドル円相場や株価にもリスクオフの影響をもたらす公算が大きい。
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