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あいりん地区で「孤立死」が日常化する意味 例外的な地域と見なす考えは時代遅れだ

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河合氏は社会的孤立への対応として「地域づくり、まちづくりを伴った孤立問題解決の取り組みが必須」だと述べているが、あいりん地区ではどのようになっているだろうか。確かに同地区においても近年、まちづくりの取り組みが活発に見られるが、その中心的な担い手は、町内会のリーダー層や同地区で長く活動するソーシャルワーカー、大学教員といった専門家となっており、社会的孤立のリスクを背負った住民の参加が十分に見られない。その結果、おのずと社会的孤立に関する議論は周辺的なものになりがちだ。

当事者の参加を促すことが重要

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今後のまちづくりにおいては、新たな地縁を創造する契機とするためにも、社会的孤立や孤立死をテーマに設定し、当事者の参加を促すことが重要だと筆者は考えている。

西成区社会福祉協議会が主導する「地域における要援護者の見守りネットワーク強化事業」とあいりん地区の65歳以上の単身高齢生活保護受給者を対象にした「ひと花プロジェクト」は、社会的孤立や孤立死を防止する重要な役目を担っている。

しかし現状では両者の連携が十分ではないし、ニーズに対する支援資源が圧倒的に不足している。したがって、今後はまちづくりという大きな視点から、ばらばらに展開されがちなこれらの取り組みを切れ目なく再配置することが求められよう。

ここまで見てきたように、あいりん地区では血縁関係が絶たれたなかで死が経験されやすい。こうした死に方は、あいりん地区に限らず、現代の日本社会で広く見られるようになりつつある。従来、死者を丁重に弔うことが親族の重要な役割として位置づけられてきたが、その慣習は近年、大きく揺らいでいる。あいりん地区を例外的な地域と見なす考えはもはや時代遅れである。むしろ課題先進地ととらえ、同地区が経験してきたトライ&エラーに学んでいくことが求められる。

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