冨田真由さん刺傷事件、判決は軽すぎたのか 刺したファンの男に懲役14年6月
東京都小金井市で2016年5月、音楽活動をしていた女子大生・冨田真由さんがファンの男に刺された事件の裁判員裁判で、東京地裁立川支部は2月28日、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた岩崎友宏被告人に対し、懲役14年6月(求刑懲役17年)を言い渡した。
阿部裁判長は、岩崎被告人の犯行について、冨田さんが出血性ショックで亡くなっていても不思議はなかったとして、「危険かつ悪質」「殺意は非常に強固」と批判。量刑は殺人未遂の中で「もっとも重い部類」が相当とした。
被害者参加制度を利用した冨田さん側は、無期懲役を望んでいた。一方、判決では、岩崎被告人の内省が深まっているとは言い難いものの、「一応は謝罪の言葉がある」ことや、初犯であることなどから、懲役14年6月とした。
ネット上で、量刑について「短すぎる」「死刑にしろ」といった意見が多くあがっているが、今回の判決について、刑事事件に詳しい弁護士はどう考えているのか。德永博久弁護士に聞いた。
殺人未遂としては「かなり重い部類の判決」
――殺人未遂はどの程度の刑になるのか?
殺人未遂罪の法定刑は、殺人既遂罪(つまり殺人罪)と同じく「死刑、無期又は5年以上の懲役」(刑法199条、同法203条)と定められています。
――上限が示されていないのなら、懲役は何年にしても良い?
ただし、刑事裁判における量刑としては、(1)殺人未遂罪のみで処罰された場合には懲役3年から8年程度が相場です。また、(2)放火や爆弾等の手段を利用した場合には、他の犯罪(建造物放火罪、爆発物取締法違反等)に対する評価も含まれますので、懲役10年から20年といったものが多くなります。