「新幹線は高い」青函間にフェリー復権の兆し

乗客増加、安さと速さで新幹線と棲み分けか

特急「白鳥」として現役最後の仕事を終えた485系=2016年1月、青森駅(筆者撮影)

北海道新幹線開業後、青森-函館間を約2時間で結んでいた在来線特急「スーパー白鳥」「白鳥」が廃止された。これらの特急を使えば、自由席なら往復約1万円、割引きっぷを使えばフリーエリア付きで7,000円弱で、海峡の両岸を往復できた。一方、北海道新幹線は、新青森-新函館北斗間は1時間余り、実勢料金といえる特定特急券を使って片道6740円、ネット事前購入限定の切符でも5800円(13日前までに購入で4350円)。加えて、青函両市とも、フェリー埠頭も新幹線駅も市中心部から離れている。

「そこそこの料金と時間」で両市中心部を直結する交通手段がなくなり、郊外を結節点とする「速くて高い新幹線」と「時間はかかるが安いフェリー」に二極化した格好だ。

フェリー利用動向、上半期は微増

国土交通省北海道運輸局の2017年2月末現在のデータによれば、2016年度の月ごとのフェリーの利用動向は、上半期は微増、下半期は前年をやや下回る水準で推移しているが、内訳をみると、複雑かつ興味深い変化がうかがえる。

トラックの輸送は上半期、月間2万台前後と、ほぼ前年並みで安定していた。しかし、8月末に襲来し、北海道の農産地域に甚大な被害をもたらした台風10号の影響か、10月以降は前年割れが続く。

乗用車については、2016年4月は25%増となっているが、これは北海道新幹線開業の影響というより、前年同月、法定検査のため運休していた便があったため、数字上の反動が現れたという見方もある。その後、5月以降はほぼ前年並みの数字が続き、最も多い8月で2万5000台余りで前年並み、利用が少ない2月は約3000台で1割減と、前年に比べて極端な変動はない。北海道新幹線の利用者が津軽海峡線時代より大幅に増え、海峡を挟む人の流動が増えた事情を考えると、パイの拡大と「海路⇒鉄路」のシフトが相殺された結果、「前年並み」に落ち着いた可能性もあり、検証が必要だろう。

ただし、台風10号の被害によって、JR北海道が「道内旅行の再検討」を呼びかけるに至った9月は、前年の1万3246台から30%落ち込んで9326台にとどまり、年間ベースの数字を押し下げる要因となった。

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