スペイン発キャンデー「パパブブレ」の正体 なぜ店舗に人だかりができるのか
そして同店を「日本一、面白いお菓子やさん」たらしめているのが、客の目の前であめを作り、味見もしてもらうという実演型の販売方法だ。店内に入るとまず、何とも言えない、甘い香りに嗅覚をくすぐられる。店のスペースの半分を占める天板では、重さ15キロのまだやわらかいあめを、男性スタッフ2人が伸ばす姿が見られる。複数色のあめを組み合わせ、何度も押し伸ばしながら十分に練ったところで、棒状に伸ばして小さくカットする。
作業の途中で「これからカットします。余ったあめで可愛いトリさんができますよ~」などと実況アナウンスも入り、まるでショーのようだ。「味見をどうぞ」とお客に差し出される、できたてのあめはまだ温かい。華やかな色のあめがカットされるたびにキラキラと光を放ち、アミューズメントパークのような非日常感が漂う。
「あめ作りのキッチンがある店舗は4店。あめ作りを五感で感じていただくことをコンセプトにしています」(菅野氏)
売上金額ナンバーワンの大丸東京店は、店舗の周りに人だかりができるほどだという。
バックパックひとつで渡欧
こうしたあめ作りの技術や販売方法、デザイナーによるスタイリッシュな店舗、簡素なシルバーのパッケージなどは、本店であるバルセロナ店から受け継いだものだ。もともと実家が仕出し店だったため、料理人としての知識、経験は積んでいた菅野氏。さまざまな料理店で働いてみたものの長続きせず、スペインの有名料理店で修行してみようと、バックパックひとつで渡欧した。目当ての料理店では残念ながら働けなかったが、別の運命が待っていた。
「2002年、ちょうど9.11の後でしたね。パパブブレのオーナー、トミーさんに出会ったんです。その頃はまだ開店をしていなかったのですが、“こんなあめがあるんだ、すごい”と感動して、手伝わせてもらえないか、と頼みました」(菅野氏)
何がそんなに菅野氏を引き付けたのか。まずは、商品の輝きに魅せられた。また、日本にない色や、その組み合わせ。赤、青といった原色だけでなく、パステルカラーも組み合わせ、独特のセンスを生み出していたという。
「セレクトショップを思わせる店舗デザインやパッケージも、“抜けた感性”というのでしょうか。カッコいいと思いました。ヨーロッパを歩いていると、街にひとつかふたつはそういうすごい店があります。パパブブレにも同じものを感じました」(菅野氏)
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