首相周辺で高まる「消費税3%増税」縮小論 中期財政計画などに影響も
[東京 24日 ロイター] - 2014年4月からの消費税率3%引き上げをめぐり、安倍晋三首相周辺の一部から増税幅を縮小すべきとの声が出ているため、8月にも策定する予定の中期財政計画や概算要求基準の作業に影響が出かねない状況になっている。
首相周辺の中には、3%増税が既定路線化して中期財政計画や概算要求基準の作業が進むと、修正の余地がなくなるとの見方も出ているという。秋に予定される消費増税の決断次第では、来年度の歳入歳出計画の策定作業に大きな影響が出ると予想される。
景気回復と増税回避のロジック
国内景気の回復が鮮明になっているものの、来春から消費税を3%引き上げると法律に明記されていることが、簡単に実現できない可能性も出てきている。景気が良くなったからこそ、ここでデフレ脱却への流れを止めるべきではないとの議論が、首相周辺の一部で浮上しているためだ。
複数の関係者によると「官邸関係者の一部では、中期財政計画や概算要求基準の前提として3%の消費増税を織り込むことに懸念の声が出てきた」という。
安倍首相は参院選後の記者会見で「今年4月から6月の経済指標などを踏まえ、経済情勢をしっかりと見極めながら秋に判断する」と述べているが、足元の経済環境をみれば、増税をストップするような材料はほとんどない。
4─6月の国内経済指標は軒並み強く、国内総生産(GDP)成長率は実質・年率4%近い高成長を予測する調査機関が多い。むしろ14年度のリスクとして、中国をはじめとした海外経済や大型補正の効果が切れる財政の崖、そして消費増税という3つの大きな要因が予想される。首相周辺でも、こうした要因でアベノミクスの目的であるデフレ脱却への流れが止まってしまうことへの懸念が話題に上っているもようだ。
安倍首相自身も、消費増税について「デフレ脱却、経済成長と財政再建の両方の観点からしっかりと判断する」とし、デフレ脱却の観点も判断材料にすると明言している。