激安ノートパソコンが快進撃!! 日本勢の「聖域」に殴り込み

従来ノートパソコンといえば日本メーカーの得意分野だった。デルの低価格デスクトップ機の登場で価格破壊が進んだパソコン業界にとって、価格が比較的高止まりのノート機分野は、自ら低価格品を投入すれば価格下落の引き金を引くことになりかねない。低価格機はできれば参入を避けたい「聖域」だった。

この聖域にメスを入れたという意味でアスースの衝撃は大きい。が、日本メーカーの多くは依然としてULCPC市場に静観の姿勢。富士通が「HPも参入したことで注目している」(五十嵐一浩パーソナルビジネス本部長)として、年内にも同種製品の海外販売を計画する程度だ。

EeePCの普及で利益圧迫のリスクも

しかし、米メーカー関係者はこう指摘する。「デスクトップなど従来の製品市場は“レッドオーシャン”。高機能なのに価格を競い合う血の海だった」。それに対しULCPCは、低価格でも機能とコストの大胆な見直しができ、従来パソコンを敬遠していた消費者層の開拓も期待できる。参入の意味はあるというのだ。

アスースにも死角はある。大和証券の在外アナリスト、カルビン・ファン氏は今年6月のリポートの中で、EeePCはマザーボードの粗利率が約30%を下回っており、アスースの業績全体においては利益引き下げ要因になっていると指摘する。

また、IT調査会社・IDCジャパンの片山雅弘リサーチグループマネージャーも、EeePCはすべて中国で製造されているため、現地の労務費高騰がさらに進めば採算を圧迫する可能性があると分析。より人件費の低いベトナムでの製造を検討するなどしなければ、アスースにとって厳しいビジネスとなると見る。

米メーカーの間には「ULCPCでもすでに価格競争が始まっている」との声がある。実際に価格競争となれば、EeePCが切り開くのは成長を託せる新市場というより、不毛な廉売市場になりかねない。

新市場を発掘するも、収益面では不安を抱える海外メーカー。一方で、台頭する新勢力への対応に出遅れ感のある日本メーカー。EeePCショックがパソコン業界に何を残すのか、答えはまだ見えない。

(麻田真衣 撮影:玉川陽平 =週刊東洋経済)

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