トランプ劇場に踊らされ見失いがちな「本質」 オーストラリアとの首脳会談は何だったのか

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昨年冬、取材のため数週間オーストラリアに滞在していた私は、現地で何人かの難民や難民認定申請者に出会った。その際、彼らが口々に漏らしたのは「多文化主義を掲げてきたオーストラリアが最近、難民受け入れに非常に厳しい」「自分が難民として受け入れられた数年前とはかなり変わった。今親戚や知人が入国を試みても、以前のようにはいかない」とする不安や懸念の言葉だった。それが、この近隣の島国での収容の実態だった。

オーストラリアでは、トランプ政権への移行で、オバマ前政権時代のこの合意が暗礁に乗り上げるのではという見方が大半を占めていたものの、大方の予想を覆してトランプ大統領とターンブル首相との電話会談で、その枠組みは引き続き「合意」に至った。

オーストラリアのメディアは、島国の収容施設の中には、大統領令で入国が制限された7カ国からの難民希望者が含まれていることもあり、”矛盾”という言葉を使うなどして、戸惑いと驚きをもってその合意を報道した。

オーストラリアの全国紙は、「トランプ大統領はナウルに関する電話会談でターンブル首相へ特別な配慮を示した」と報じ、さらに、アメリカの情報筋が「これはオーストラリアへの特別な配慮だったことは明確です」と話したことを取り上げた。だが、電話会談の結果が、長年にわたる強固で親密な友好関係にあるオーストラリアへの「配慮」などとして報じられたのは、ほんのつかの間の出来事だった。

オーストラリア側にとっては目を疑う事態に

翌日、米紙ワシントンポストが驚きの一報を放った。なんと、トランプ大統領が「これまでで最悪の電話会談だ」と、25分で唐突に会談を打ち切ったというのだ。

これには、世界中のメディアが即座に反応した。それまで、オーストラリアとアメリカの電話会談をあまり詳しく報じてこなかった日本メディアもこぞってウォール・ストリート・ジャーナルを引用する形で、この”激怒”の会談を報じた。

直後、オーストラリア側はさらなるダブルパンチを食らう。ツイッターで追い打ちをかけるかのようなトランプ砲が撃ち放たれたのだ。「信じられるか? オバマ政権はオーストラリアから何千人もの違法移民の受け入れに合意した。なぜだ? このバカな取引について調べなければ!」。

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