トランプ劇場に踊らされ見失いがちな「本質」 オーストラリアとの首脳会談は何だったのか
トランプ政権発足から1カ月が経過した先週、各国のメディアがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)や移民政策などさまざまな論点からその船出を振り返った。「信じがたい混乱」(ニューヨークタイムズ紙)、「ツイートと混乱」(ABCニュース)――。軒並みその「混乱ぶり」を皮肉る記事が目立った。
世界中のメディアが踊らされている
くるくると目まぐるしく七変化するトランプ氏の態度と手法をどう受け止めるべきか、まさに今世界中のメディアが踊らされている。
その中でもトランプ氏の一挙手一投足に、社交ダンスどころかアクロバティックなまでの踊りを強いられ、混乱したのは、この国だろう。「最悪の電話会談だ!」(トランプ氏)。そう、各国首脳との電話会談で最も緊迫したものだったと報じられた、オーストラリアだ。
混乱の火種となったのは、オバマ前政権下で去年11月に合意した、南太平洋の島国でオーストラリアが収容している難民申請者を米国に移住させる枠組みだ。
トランプ政権の発足当初から、オーストラリア政府が最も懸念していたのは、TPP交渉の行方のみならず、この難民移送問題だった。オーストラリアは難民受け入れに関して、近年強硬な姿勢を取っている。日本ではほとんど知られていないが、ボートで上陸を試みる難民申請希望者たちに対して、本土への入国を永久に認めず、近隣の島国の施設に収容しているのだ。しかし、暴行や病気の蔓延といった問題が頻繁に発生し、国際的な非難を浴びており、ターンブル政権にとっては頭の痛い難題となっている。
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