打倒ヤフー!LINEがニュース大改革に動いた 男性・中高年にもウケる「王道」を目指す理由

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新しいユーザー層を開拓できた最大の要因は、流入経路の変化にある。ニュース公式アカウントは、限定スタンプを配布するキャンペーンなどでユーザーを獲得してきたため、自然とスタンプの利用率が高い女性が多くなっていた。タイムラインも女子中高生や主婦層のヘビーユーザーが多い一方、毎日欠かさず見ている男性は少なく、ニュースが届きにくかった。

それが今回、これらの機能から独立したタブを作ったことで、ニュースの存在を目立たせることができ「友人や家族とやりとりするついでにニュースも見る」という新しい導線が確立されつつあるようだ。

ジャンルごとのタブがある点など、Yahoo! ニュースに近い印象だ(写真:LINE)

タブの新設と同時に、ニュースの選び方も見直した。これまでは若年女性中心のユーザー層に合わせ、エンタメ、恋愛、ライフスタイルなどのジャンルに重点を置き、写真も大きく配置し、ビジュアルを親しみやすいものにしていた。

それを「政治・経済も含めて、よりパブリックなニュースを一覧できるよう、上部にテキスト表示する形式にした」(上田マネージャー)という。ラインナップも見せ方も、ヤフーが提供する「Yahoo! ニュース」のサービス画面にかなり近しい印象だ。

もちろん、LINEとしての差別化ポイントもある。その一つが「For You」というジャンル名でくくられているニュースだ。LINE側が推定した年齢・性別などのユーザー属性をもとに、興味に合いそうな記事をレコメンド(推薦)する。

今後もユーザー個々により最適な記事を出せるよう、独自アルゴリズム(処理手順)の研究開発を進めていくという。

ネットニュースの巨人、ヤフーに勝てるのか?

スマホニュースの分野では、検索サービスから拡大した老舗・ヤフーをはじめ、ニュースキュレーション特化型のアプリを展開するスマートニュース、グノシーなどがしのぎを削っている。そんな中、LINEは最後発ながら、日常的に利用されるメッセンジャーアプリの強みを生かし、利用者数を伸ばしてきた。

トップを行くヤフーは月間利用者数を開示していないため、規模を比較するのは難しいが、LINEが差を詰めつつあるのは間違いない。追撃に向けて出澤社長も気合十分だ。「認知度調査をすると10代、20代ではLINEがいちばんだが、それ以上の世代ではヤフーが上に来る。自分たちはまだ追いかける立場。名実ともにナンバーワンを目指す」。

LINEは今回、台湾、タイ、インドネシアのLINEアプリで展開するニュースサービス「LINE TODAY」でも同様の機能改善を実施した。それぞれの国で現地メディアとの提携も徐々に拡大しており、台湾、タイではすでにスマホニュースサービスでトップのシェアを誇る。

「今や世界にはアプリがあふれ、好みに合うものを探してダウンロードすること自体が大変だ。だから、日常的に使うLINE内でなんでも済むようになることを望むユーザーが増えている。そこがわれわれの推進するスマートポータル化というビジネスのミソでもある」(出澤社長)。ニュースに限らず、LINEの囲い込み策は、今後も続々と登場しそうだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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