風俗「五十路マダム」で不美人も売れる理由 明暗を分けるものとはいったい何か
友坂さんとは対照的に、「家族全員がデリヘル勤務を応援してくれている」というキャストもいる。入店4年目の、若林さん(42歳、仮名)だ。彼女へのインタビュー中、明るい笑いが絶えなかった。「私ね、つねに元気な明るいお母さんでいたいんですよ。だからいつも笑っています」と話す若林さんは、陽の気を自ら発しているような人だった。
それは、接客にも表れる。
「お客さんに“アンタ、不細工やな”って言われたら、逆に張り切っちゃいます。サービスに手を抜かないのは当然ですが、私はそれプラス、たくさんお話します。この年で顔は変えられないけど、お客さまを笑顔にすることはできるから。そしたら、最初に私の顔を見て“ハズレだ”ってイヤな気持ちになったのは忘れて、“あ~、楽しかった”っていう気分で帰ってもらえるんですよ」
確かに美人とは言いがたい若林さんだが、同店での人気は上々。情が濃く、客と風俗嬢としてではなく、人と人として仲良くなれる人柄が功を奏しているようだ。「こんなに楽しく稼がせてもらっていいのかしら、って気持ちになることもありますよ」と言うが、始めた当初は不安でいっぱいだった。
夫の会社が倒産したことで生活が一変
19歳で結婚し、男女合わせて3人の子どもに恵まれた。家事に子育てにパートにPTA役員、毎日、忙しくも充実していた。が、夫の会社が倒産したことで生活は一変する。
「しかも当時、念願のマイホームを購入してローンの返済が始まったばかり。ありがたいことに夫はすぐ再就職できましたが、お給料がガクンと減ったので私もパートを増やすことにしました。昼は工場で製造のお仕事、夜は飲食店。1日16時間働いて、帰ってきたら家事。当時は子どもたちがまだ中高生で運動部に入っていたから、大変でしたよ~。お弁当も作るのでお米を1日に12合炊いて、洗濯機を1日4~5回動かして。さらにイヌとネコを世話して。睡眠時間20分という日が続いた時期もありましたね、アハハ!」
そんなわずかな時間では眠ったうちに入らない。けれど「徹夜」と言わず「20分の睡眠」と笑うところに若林さんの人柄が表れている。しかし、夫や子どもたちの前でつねに笑っていても、体はごまかせない。胃潰瘍で倒れたのを機に、働き方を変えなければと思った。風俗で働いた経験はなかったが、「40代以上の未経験女性、歓迎」という五十路マダムの求人を目にしてすぐ、善は急げとばかり電話で面接をお願いした。
「家族には当然、内緒にするつもりでした。でも私、ウッカリさんだから、お店から仕事道具を間違えて持って帰っちゃった。夫が私の車の中でそれを見つけて、“なんだ、これは”と。お仕事を始めて2カ月ぐらいで、あっさりバレました(笑)」
それでも辞める気はなかった。当時の家計を表にしたものを夫に見せ、「今、ウチはこういう状況で、毎月これだけのおカネが必要なんです。だから、仕事として続けさせてほしい」と話したところ、夫は何も言えずにうなずいた。
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