風俗「五十路マダム」で不美人も売れる理由

明暗を分けるものとはいったい何か

協議離婚から1年半ほどして、夫からの養育費、月8万円が振り込まれなくなった。聞けば、元夫は失業して自分の生活もままならなくなっているという。実家の両親は亡くなっていた。児童扶養手当などの支援はすべて利用し、食品工場で朝から晩まで働き、それでも生活費は足りず、借金は増えていく。求人情報で「高収入」の文字を見て、もうこれしかないと思い五十路マダムに電話をした。

同店の女性店長は、友坂さんと初めて会ったときのことをこう話す。

「今でこそ、ひと目で美人とわかる友坂さんですが、喫茶店で面接したときは“疲れ果てたお母さん”という印象でしたね。こっちがよ~く耳をそばだてなければ聞こえないほどの小声で、“子どもに何もしてあげられない”と言って泣くんです。私自身、デリヘルで働いて子どもを育てたので、“この仕事にすごく感謝しているよ。お店も注意するので、誰かにバレることもないから、急がずゆっくり考えてね”と伝えました」

それから友坂さんは何度も店長に電話で相談し、2カ月ほど経ってから心を決めた。

昼の出勤に変えたら客がつかなくなった

「最初は夜に出勤していました。新人というだけで指名が入ったので出だしは悪くなかったのですが、夜、子どもを独りにしたくなくて昼の出勤に変えたら途端にお客さんがつかなくなりました。お茶をひく(ひとりの客もつかない)日もありますよ。生活は、いまだに苦しいですね。育ち盛りの子どもなので食費は削れないから、家賃を半分待ってもらったり借金の返済を利息分だけにしたり、本来は調節しちゃいけないところで調節しながら切り詰めている状態です」

現在の収入は月22万円前後、目標は月40万円。この仕事を選んだからには、すべて支払いで消えてしまう状態からいち早く抜けだして、貯金できるようにまでなりたいと思っている。しかし……。

「サービスの時間が終わった瞬間、自分がしたことを全部忘れたくなるんです。このお客さまにはいつ会って何をして……ってすごく細かくメモして次のサービスにつなげる女性もいますけど、私はすべて頭から追い出したい。家に持ち帰りたくないんです」

それでも店長は、「彼女は必ず売れっ子になりますよ。もうひと皮むける必要がありますが、その日は遠くないはず」と友坂さんに期待を寄せている。確かに彼女は今、変化の時期に来ているのかもしれない。デリヘルという仕事への屈託を何度も口にしながら、最後にこんな気持ちを話してくれた。

「待機所で、ほかの女性とお話しする機会も多いんですが、皆さん何らかの事情を抱えてこのお店にたどり着いていますよね。事細かくは言わなくても、苦労しているんだなぁっていうのがわかります。皆さんに自分のことを聞いてもらって“アンタだけじゃないよ、みんな大変なんよ”って言われると、ちょっとずつですが吹っ切れそうな気がしてきました。自分だけじゃないんですよね」

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