フジ、知られざる外国人向けメディアの正体 日本で暮らす外国人のナンバーワン情報源

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ジープラス社は、ガイジンポット以外にも、ニュースサイトの「ジャパントゥデイ」を展開している。2007年に買収した当時は小さなサイトだったが、日本のニュースを英語で読めるサイトはなかったため、自社で育成してきた(PVは月間約400万、月間ユーザー数は約100万)。築地市場の移転問題などの政治、社会問題から、事件、企業、スポーツまで広く展開している。

そのほか、ジープラス社は日本人のマルチリンガル向け求人サイト「キャリアエンジン」、外国人女性向けのライフスタイルサイト「サヴィー・トーキョー」、外国人向け不動産サイト「リアル・エステート・ジャパン」と合計5つのメディアを運営する。外国人が必要とする情報を多角的に提供しているのが強みと言えるだろう。

2016年に訪日外国人が2400万人を突破し過去最高を記録するなど、事業環境にはかつてないほどの追い風が吹く。カシェル氏も「時代の流れが来ていると思う。日本の人口が減少していく中で、今後は働き手として外国人を受け入れていくことになる。10年前は外国人を雇おうと考える日本企業は少なかったが、今は積極的だ。求人広告を出したい会社は多い」と語る。

フジが目を付けた理由とは?

フジがジープラス社を買収したのは2015年4月のことだ。それまでフジは、2013年に設立した出資子会社のフジ・スタートアップ・ベンチャーズを通じてベンチャー投資に注力。スマホ向け学習コンテンツやECサイト、アプリ制作などのベンチャーに出資してきた。

ただ、1社数千万円の少額出資を重ねる中で、思うように出資先と連携できないケースもみられた。重視していたのはグループ各社とのシナジーだが、これこそが難題だったのだ。さらにフジは、テレビが国内中心の事業ゆえに「海外に影響力のあるメディアを持つ」という長年の野望を抱えていた。少額出資だけではビジョンの実現は難しかった。

がっちり手を組めるベンチャーはないか。多方面を物色する中で浮上したのが、外国人に圧倒的な知名度を誇るジープラス社。ベンチャーキャピタルなどの資金も入っておらず、完全な独立企業だった。

ジープラス社にとっても、フジとの連携は心強いものだった。「外国人の会社ゆえに言語の壁があり、資金の借り入れができないこともあった。フジと組むことで経営は安定するし、さまざまな協力ができる」(カシェル氏)。

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