外国人と働く日本人にありがちな「勘違い」 米国人をストレートに批判するのはNG!

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Erin Meyer/フランスとシンガポールに拠点を置くビジネススクールINSEAD客員教授。異文化交渉、多文化マネジメントに焦点を充てた組織行動学が専門。ハーバード・ビジネス・レビュー、ニューヨークタイムズなど寄稿多数。世界銀行、国連、エクソンモービルなどでも講演。世界で最も注目すべき経営思想家のひとりとして、「Thinkers 50」ほかで紹介されている。

確かにカルチャーマップで見ると、日本は階級的なのに対して、米国はよりフラットで平等です。しかし、意思決定に関していえば、米国が極めてトップダウンなのに対して、日本は世界で最も組織内の合意を重視する傾向が強い。このため、日本は意思決定に時間を要するのです。

また、日本ではいったん決定が下されると、それが変わることはほぼない。一方、米国や中国、韓国、インド、ブラジル、ロシアなどはトップダウンのため意思決定は早いけれど、その決定が頻繁に変わります。こうした違いは、受け入れるのが難しいため、非常に重要でもあります。

日米どちらの意思決定のプロセスも、その文化にいればまったく問題ありません。しかし、複数の文化の人と仕事をする場合は、その国の人たちのやり方がわからない、というか、多くの人たちは自分たちのやり方がほかの国のやり方とは違うということを認識していません。

文化の違いによる「ミス」は日々起きている

――日本では、海外の人と仕事するのに言葉の壁については話題になりますが、文化的な違いが仕事の妨げになるという話題はあまり出てきません。

日本にかぎらず、多くの国がまだビジネスにおける文化的な違いは重視していません。私が住んでいる欧州は、ちょっと電車に乗ればほかの国に行けるので、ほかの地域に比べると文化的違いに対する感度が高いかもしれませんが……。ほとんどの地域にある企業は、こうした違いがあることを知らないのか、あるいは、重要だと考えていないのか、注目をしていません。

しかし、文化の違いによる「ミス」は毎日のように起きているのです。メキシコでの取引に失敗したり、インド人の取引相手から連絡が来なくなったり……それはあなたが、彼らが求めている商品やサービスを提供していないからではなくて、仕事上における文化の違いによってすれ違いが起きたからかもしれないのです。

――近年は「グローバルスタンダード」という概念が普及してきたように思いますが、実はグローバルな基準などないと。

企業が作る製品やサービスがグローバル化しているからといって、私たち人間がグローバル化しているわけではありません。それは表面的な幻想です。私たちはそれぞれの国で違うように育てられ、異なる教育システムの下で教育を受けてきたのです。少なくともあと100年は日本人と米国人が同じような考えに基づいて、同じように行動することはないでしょう。

ただ、長い間研究をしていて感じるのは、より文化的な多様性に富んでいるチームのほうが、よりイノベーティブであると同時に、浮上する問題も予測しやすいのです。

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