愛知県一宮市中3自殺、囁かれるいじめの実態 同級生のLINEの記録で浮かび上がる
母親がいきさつを語る。
「体育祭の組み体操で、上に乗っていた勇樹が、バランスを崩し前のめりに手をつく感じで落ちたんです。帰宅して、“父ちゃん、骨折れとる”って。見ると両手の親指がパンパンに腫れて、紫色に変色していたんです。勇樹に聞くと“痛いんやって言ったけどスルーされた”と話していました。そればかりか骨折した手で後片づけもしたそうです」
驚いた母親は、担任にも電話で伝えた。これから病院に行くこと、その結果を後ほど電話で報告したい、と。
担任の返事は「忙しいので明日に」。そう言って、生徒の母親の報告を打ち切ったという。母親が続ける。
「病院に行くと、やはり組み体操でケガをしたようで、別のクラスの生徒、他の学校の生徒が来ていました。学校で応急処置をされたり、教師が付き添っている様子を目の当たりにした勇樹は、“ほかの人は先生と来るのに、俺は見捨てられとる”ってがっかりしていましたね」
両手の痛みの訴えを教師にスルーされれば、痛みは思春期の生徒の心に転移する。
“大人なんて本当にいやや”。ケガの後、勇樹くんは近所の住民にそう漏らしたことがある。生徒が痛みを訴えれば、耳を傾けるのが教師の姿。学校の説明によると、それを放棄した担任はその日、職場の飲み会に出席していたという(のちに本人は父親の見舞いに行ったと否定)
市の教育委員会に見解を求めると
一宮市教育委員会に、この点に関する見解を求めた。
「子どもを注意して観察することは大切なことです。気がつかなかったのは、学校として深く反省するべきでありますし、以後同じことが起こらないように、学校には指導を徹底していきます」
さらに担任は、学校内の学校行事中に起きた骨折にもかかわらず、学校に報告することも怠っていた。教頭も、母親に指摘されるまで生徒が体育祭で骨折事故を起こしたことを知らされていなかった。