グローバル化で新卒一括採用は崩壊する
矢下茂雄 楽天みんなの就職事業長に聞く

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13年新卒採用から就職解禁が10月から12月へ後ろ倒しになったことで、就活期間が短くなり学生は十分に企業研究ができなかった。その結果、学生は企業内容を吟味することなく、とにかく業界1位を目指すことになってしまった。

たとえば、自動車業界の場合、1位のトヨタ自動車と3位のホンダのどちらがいいのか一概に言えないが、学生はランキングだけを参考に決めてしまった。

14年新卒採用において、各業界の2位以下企業は企業の魅力を学生に伝え、内定辞退を減らすためにインターンシップを強化した。ある大手金融機関は夏休みに数千人のインターンを受け入れた。かつてのリクルーター制度の代わりにインターンシップをやっているイメージだ。

インターンシップは手間と費用がかかるが、インターンシップを実施した企業は採用結果に満足している。3年生の夏からインターンシップをやる学生は就職への意識が高く、優秀な学生が多い。

就活スケジュール変更のメリットとは

――現在の2年生(16年新卒)から就職解禁日が大学3年の12月から3月に後ろ倒しとなります。どのような影響がありますか?

解禁の時期が話題になるが、就活期間が1カ月延びるのは企業にとっても、学生にとってもメリットがある。現在は12月スタートで4月に選考開始なので4カ間だが、今後は3月スタートで8月に選考開始となので5カ月間となる。

――政府が期待するように学生は学業に専念できますか?

理工系の学生は4年生の6~7月は研究で忙しいので、負担が重くなる。このため、商社は3月スタートに賛成でもメーカーは反対のようだ。

――スケジュール変更で、海外に留学した日本人学生が国内で就活をしやすくなりますか?

就活日程の変更で留学生が増えることはないだろう。留学生は6月ごろに帰国するので、4月の選考に間に合わなかった。選考を8月にすれば留学生は選考に間に合うことになる。

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