ルンバだけじゃない、アイロボットの挑戦 ついに、自分の分身ロボットまで登場?

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たとえば、海外の支社にいる社員がこれを使って本社を訪ねたり、工場を見学したりといった使い方が可能だ。テレビ会議にはない機動性があり、まるでその人自身のような存在感を与えることができる。

エイヴァ500があれば、遠隔地でも行かずに済ませられる?

エイヴァ500は、ルンバに類した自走技術を利用している。その場所をリアルタイムで認識し、障害物を避けながら自律的に走行するというものだ。医師が遠隔医療のために利用するロボットも、同様の技術を用いて共同開発している。軍事用ロボット、家庭用ロボットからさらに、企業や医療の領域に進出しているのだ。

さらに、介護ロボットにも乗り出す予定だ。高齢者が独立して生活するのをサポートするようなロボットを描いている。自分の代わりに手を伸ばして何かを取ってくれる、毎日の薬の服用を忘れないように教えてくれる、ベッドから起き上がるのを助けてくれる。まだ、そのかたちは明らかではないが、人々が本当に必要とするときに、そこにいて助けてくれるようなロボットを世に出すつもりだ。社会の問題を解決する製品になってこそ、意味がある。それは、創設当初の苦い経験の後に学んだことだ。

お掃除ロボットのルンバは、皆に愛されている。顔もないルンバに名前までつけて、まるで家族の一員のように愛着を感じている人々も少なくないようだ。

楽しみながら、世界を変える

しかし、だからと言って、ロボット作りが簡単になったわけではない。「ロボットはいつも、こうなるはずというデモンストレーションと実際が、大きく懸け離れているのです」とアングルは語っている。動くはずのロボットがうまく動かない、ソフトウエアがクラッシュするといったことは、開発途上のロボットでいつも起こること。ロボットはいまだに先端技術なのである。

けれども、アングルはこんな信念で会社を率い続けていくという。

「面白いモノ作りをして、いい製品を世に出し、おカネも儲け、楽しみながら世界を変える」

少年のような思いを持ち続けるアングルは、ロボットという新しい産業をリードしていく星なのである。

 

 

瀧口 範子 ジャーナリスト

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たきぐち のりこ / Noriko Takiguchi

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』『行動主義:レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家:伊東豊雄・観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち:認知科学からのアプローチ』(テリー・ウィノグラード編著)、『独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書』(ジーン・シャープ著)などがある。

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