独身女性が48歳でAV女優デビューした理由 女性ならではの「形に残る仕事」がしたかった

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綺美香が短大時代には、世は空前のバブル景気を迎えていた。普段の授業は真面目に出席していた彼女もときにボディコンをまとい、ディスコに通った。

「家ではそんな格好にはなれないから、友達の家で着替えてから遊びに行ってました。母は厳しかったですね、そのころの門限は夜10時でしたし、少しでも遅れると締め出される。“コンサートでアンコールを見ていて時間が過ぎた”とかいくら説明してもそんなの一切お構いなし。……でもねえ、親がそんなこと言っても誰もが門限を破るときがくるんですよね~。私も初めて門限を破ったとき……それは彼とのお泊まりだったなぁ~、うふふ」

当時を思い出し、楽しそうな表情で綺美香は語る。

「今の子ってケータイがあるからいいですよねぇ~。LINEで“今日は泊まりいってくる”なんてちょっと言えば済むでしょ、羨ましいなあ~。昔なんて彼氏と電話するのも“8時半に電話するから出てね!”って言ってるのにイエデンにお母さんが出ちゃったりして! 長電話になるとあからさまに後ろで咳払いされたりしたもんねぇ~!」

陽気なおしゃべりは続いていく。

「若いお母さん」に憧れていた

「そもそも私、20代のころ、AVなんて考えられなかったなぁ。そのころはAVってすっごく陰の仕事っていうイメージもあったし、“AVに出る”という以前に働くってことを考えたことがなかった。結婚願望が強かったし、若いお母さんに憧れていましたね。手縫いのスモックを子どもに着せて、手作りのおやつを食べさせる……みたいな。私自身一人っ子というのもあって子どもは2、3人ほしいな~なんて思っていたし。でも“最低、2~3年でも社会経験をしないとダメだ”“社会人として企業に勤めてお金を稼ぐ経験をしろ”というのが我が家の考えで。特に父は“これからの時代は女性も社会進出していくからキャリアになる仕事に就いたほうがいい”と厳しく言っていましたね。父自身、箱入り娘の母親をもらったから私には違う風になってもらいたかったのかもしれない。そういう私自身は就職といってもあくまで腰掛けで、すぐに結婚する気満々だったんですけど(笑)」

綺美香は正社員としてデパートに就職した。数年後に転職し、受付嬢として勤務、着実に社会経験を積んでいった。そしてやがて彼女が夢に描いていた結婚が現実味を帯びてくる。27歳のときだった。

「相手は15歳年上の人でした。その人は一人っ子でしかも地方の地主! ひろ~い土地と母屋があって、同居がマスト。私が“嫁に行く”って感じだったんです」

しかし結婚話はあえなく破談となった。

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