「トランプ経済政策」が実行しにくい根本理由

自己流で進められることは限られている

頼みの綱の側近も、その仲たがいが連日のように報じられるありさまだ。2月に入ると、どこからともなく、「誰かが混乱収拾のために辞任させられる」とのうわさが立ち始めた。実際に、2月13日には、国家安全保障担当のマイケル・フリン補佐官が、就任前のロシア政府との接触を問題視され、就任1カ月を待たずに辞任に追い込まれている。

トランプ政権の出足が不安定である背景には、「自己流が通じない」というだけではない、もうひとつの「壁」がある。米国議会の存在だ。減税やインフラ投資など、トランプ大統領に期待されてきた前向きな経済政策は、大統領の力だけでは実現できない。米国議会という壁を乗り越えるには、そもそも時間が必要だった。

経済政策実現に後ずれのリスク

トランプ大統領が矢継ぎ早に実現してきた公約は、大統領権限で実行できる内容に限られる。移民・難民の入国禁止に代表される厳格な移民政策や、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定からの撤退などの保護主義的な通商政策のように、大統領権限だけで実行できる政策は、論争的な内容が多かった。

その一方で、トランプ大統領に期待されてきた「前向きな経済政策」を実現するためには、米国議会での立法が必要になる。減税やインフラ投資など、財政を使うような政策は、大統領権限だけでは実行に移せない。こと財政に関しては、議会の権限は大きい。大統領と議会が並列的な関係にある米国の制度を考えれば、経済に好ましい政策が出遅れるのは避けようがなかった。

伝統的に米国では、大統領と議会が適度な緊張関係にある。議会の多数党が、大統領が属する政党と同じであったとしても、黙って大統領の方針に従ってきたわけではない。大統領の提案を受け止めたうえで、議会は議会の立場で立法作業を進めていくのが通例である。各党の党議拘束は日本ほど強くなく、議員個人の意見が反映されやすいのも、米国議会の特徴だ。

注目されるのが、上下両院で多数党の座にある共和党議員たちの動向である。来年11月には、議会が改選となる中間選挙が実施される。4年の任期が始まったばかりのトランプ大統領より先に、共和党の議員たちは選挙の洗礼を受けなければならない。移民・難民に対するトランプ大統領の過激な言動などには、共和党議員からも反発の声が上がっている。

ただ、トランプ大統領が政策運営に失敗すれば、同じ政党に属する共和党の議員も巻き添えとなり、自分たちの再選が危うくなりかねない。どこまでトランプ大統領を支えていくべきなのか。共和党の議員たちは、難しい判断を迫られている。

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