「メモリ特需」で日本の製造業は大復活する 東芝の大逆転はあるか?半導体新技術の実力

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残る3割については、アメリカのマイクロン、インテル、それに韓国のSKハイニックスが占めている。この5社がほとんどの生産を賄っているが、能力や技術のレベルを考えれば、実質的には東芝とサムスンの2社による一騎打ちの状態である。

ただし、これにはちょっとした注釈が必要だ。サムスンはサーバー系を得意としている。一方の東芝はメモリーカードが強い。ハイエンドサーバーとメモリーカードの単価を比べれば、後者のほうが圧倒的に安い。しかして、東芝はサーバーの強化を打ち出し、サムスンの牙城を崩していく考えだ。

EUV技術は日本の国家プロジェクト

また、半導体製造の技術面においても東芝には多くの優位性があるのだ。それはなんといっても、EUV(極端紫外線)のプロセスを世界に先駆けて採用し、突っ走っていくということだ。四日市工場内にメモリ研究開発センターもスタートし、これまでのステッパー技術を乗り越えるEUVプロセスの量産技術確立に全力を上げている。

EUV技術は日本の国家プロジェクトであり、製造コストおよび10ナノメートル以下の超微細加工においてサムスン、インテルを上回る最先端製造プロセス採用で抜け出す考えを固めている。消費電力も大幅に減らすことで世界の省エネにも貢献できるのだ。

いずれにせよ、今後しばらくは、この2社にたいへんな追い風が吹くことは間違いない。もちろん、両社もそれを十分に認識している。まずサムスンは2014年10月、1.6兆円を投じて世界最大規模の新工場を建設すると発表。それに対抗するように、東芝も2016年2月、1.5兆円を投資して四日市工場に隣接する20ヘクタールの土地を取得し、新工場を建設すると発表した。この投資額は、日本の半導体メーカーとしては過去最大だ。

この発表に対し、業界やメディアの反応は冷ややかだったが、筆者はそうは思わなかった。1.5兆円を投じての新工場建設は極めてまっとうな投資で、むしろ足りないぐらいである。前述のとおり、フラッシュメモリの需要の急増が見えていたからだ。

ざっと計算したところ、仮に世界のハードディスクのうち、2020年までにかなりの数をフラッシュメモリに置き換えるとしたら、東芝四日市工場と同規模の工場が最低でも20は必要になる。シェアを二分するサムスンとそれを担うとしても、それぞれ10の工場を新設しなければならない。東芝は、そのうちの1つに着手するにすぎないのである。

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