なぜ豊臣秀吉は「朝鮮出兵」を決意したのか

なんと「あの武将」が発案者だった?

Q7. 朝鮮出兵では、「加藤清正の虎退治」が有名ですね。

そうですね。発端は、加藤清正の家臣が何者かに惨殺されたことです。

「犯人が虎だ」と判明するや、彼は自慢の槍でその虎を追い込み、一騎打ちでこれを仕留めたと伝わっています。ただ、実際に使った武器は槍でなく、鉄砲を用いた集団での巻き狩りだったようです。

Q8. 「退治した虎」はどうしたのですか?

塩漬けにされ、秀吉に献上されました。

秀吉は虎の肉を非常に気に入ったらしく、その後は朝鮮在陣の各大名にもっと虎を送るよう「猛烈にリクエスト」しています。

その結果、加藤清正のほかに、島津義弘、鍋島直茂、亀井茲矩、松浦鎮信、伊東祐兵ら、多くの大名が続々と虎を献上しました。吉川広家は「生け捕り」にも成功しています。

Q9. まさに「虎退治ブーム」ですね

各大名とも点数稼ぎに必死でした。明国征服はおろか、朝鮮半島で苦戦を強いられる戦況下で、何とか恩賞にありつこうと、各大名はこうした「秀吉のご機嫌取り」に走ったのです。

虎の肉は「滋養強壮」に抜群の効果があるとされ、非常に珍重されていました。くしくも彼の息子、秀頼が誕生したのはちょうどこの時期と重なっています。

秀吉の意図は「貿易の独占支配」?

Q10.秀吉が明に攻め込もうとした動機は何だったのですか?

残念ながら、決定的な動機はわかっていません。

「恩賞として家臣に与える土地が不足していたため」ともいわれますが、秀吉の具体的な理由を示す当時の記録はまだ見つかっておらず、現在でも諸説が挙げられ、議論が続いています。

ただし、「文禄の役」後の和平交渉に着目してみると、その中の一文から秀吉の「秘められた意図」をうかがい知ることができます。

Q11.秘められた「秀吉の意図」とは?

それは「東アジア交易の独占支配」です。

秀吉が提示した要件に、「日明貿易の再開」がありました。彼の視野には、高価な明の特産品の交易で莫大な富が生み出される光景が映し出されていたのでしょう。

室町幕府の衰退により、日明間の貿易は長く途絶えていましたが、この貿易は利潤が大きく、1回の往復で元手の数倍~数十倍もの利益を得られたといわれます。

ただ、こうした「貿易のうまみ」にいち早く気づいたのは、秀吉が最初ではありません。実はもっと以前から「明の征服」を思い描いていた「ある人物」がいたのです。

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