参院選で「アベノミクス」に一段の追い風 自民圧勝なら株価は一段高も
[東京 19日 ロイター] - 7月21日に投開票される参議院選挙は与党圧勝が予想されており、金融市場では「アベノミクス」に一段と追い風が吹くとの見方が大勢だ。
しかし、さらなる円安・株高を期待する声がある一方で、消費増税を軸にした財政論議の行方、新興国や欧州の信用不安再燃など海外情勢への懸念も根強い。安倍晋三政権が「ねじれ国会」を解消し、政策運営に盤石の態勢を整えたとしても、現在のリスクオン相場がどこまで継続するかは不透明だ。
ねじれ国会解消で政治リスク後退
安倍首相が率いる自民党が予想通りに参院選で大勝すれば、日本には長期政権による政治的な安定が戻る可能性が高い。衆院解散がない限り、国政レベルの選挙は2016年まで行われないからだ。政治的安定の回復は、日本のソブリン信用力へ大きな支えとなる。
格付投資情報センター(R&I)のシニアアナリスト(日本国債担当)の関口健爾氏は、「衆参ねじれ現象が解消し、政権与党がスピード感を持って政策を実行できれば、ソブリンの信用力にとってポジティブな要因になるだろう」とみる。ただ、財政拡張的な予算編成が続くようだと、格付機関として看過することはできないとも指摘。8月策定の中期財政計画や今後の2014年度予算編成、さらには来年4月に予定されている消費増税や社会保障の削減をめぐる議論に注目したいという。
みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、安倍政権にとって参院選後は、これまで先送りしてきた「財政健全化」と「消費増税」の問題に向き合う時間になると指摘する。「歳出の抑制や増税は、多かれ少なかれ、景気を下押しする要因となる。昨年11月から今年5月までは、アベノミクスへの過大な期待感を背景に海外投資家の大幅な買い越しを原動力にした日本株の急騰劇が見られたが、それが再現されることはないだろう」との見方を示している。