新商品投入だが…資生堂の期待と不安
白ツバキの発売以降は価格競争になってい
白ツバキの発売後、赤ツバキを値下げする小売店が続出。発売当初から25%の値下げとなる598円で売り出す店も現れた。ドラッグストアチェーンのバイヤーは「600円以下だと店側は赤字」と明かす。それでも白ツバキが発売されれば、赤ツバキに偏っていた人気が分散されることは否めない。高級イメージを損なう売価設定は資生堂にとって誤算だったに違いない。
値下げはツバキだけではない。アジエンスも一部の店頭で、当初比25%ダウン価格で販売されている。花王は10月にアジエンスを全面刷新、1カ月後には「詰め替えパック」を発売する計画。これまではプレミアム感を維持するため、特売の目玉にされやすい詰め替え品を展開してこなかった。だが今回、戦略を転換。詰め替え品でユーザーをつなぎ留め価格下落を阻止する狙いである。
シャンプーは「利益率的にはおいしい市場」(P&Gのマーケティング本部ブランドマネージャー、山田実氏)と言われてきた。製造原価率は「衣料用洗剤が50%、化粧品が25%。シャンプーはその中間」(みずほ証券の佐藤和佳子シニアアナリスト)。大胆に宣伝費用を投入しても、一定のシェアを維持できれば利益を確保できる。プレミアム感を打ち出し高単価に設定すれば、“うまみ”が増すことは言うまでもない。
とはいえ、ラインナップの拡充により価格下落や高級イメージの低下を招いては元も子もない。業界関係者は「資生堂は赤ツバキの卸値を一度も下げたことはない」と話す。ただ、実売価格の低下が続けば、卸値に影響がないとは言い切れないだろう。人件費が安いタイで製造するP&Gと違い、資生堂は埼玉県の久喜工場での製造だ。今回大掛かりなプロモーション戦略を継続する(白ツバキの宣伝費は未公表)こともあり、利益への影響が気になるところだ。
値崩れが止まらなければ、プレミアムシャンプーの“うまみ”が賞味期限切れになるかもしれない。
(書き手:佐藤未来 撮影:今井康一)
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