新商品投入だが…資生堂の期待と不安

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新商品投入だが…資生堂の期待と不安

資生堂が巨額の宣伝費を投じて展開するプレミアムシャンプー「TSUBAKI」。ラインナップを拡充し一気にユーザーへの浸透を図るが、一部店頭では値崩れが始まっている。(『週刊東洋経済』10月13日号より)

 資生堂の大胆な仕掛けは、吉と出るか凶と出るか。
 
 同社は9月18日、東京・渋谷区の表参道ヒルズで、シャンプー新商品「TSUBAKI ゴールデンリペア」(白ツバキ)の発表会を開催した。50億円もの広告宣伝費を投じ昨年3月に発売した「TSUBAKI」(赤ツバキ)の第2弾だ。

 トップ女優をズラリとそろえ世間の耳目を集めた前回同様、今回もド派手な宣伝戦略を打ち出した。CMに蒼井優ら6人の女優を起用。発表会にはほかにも、赤ツバキのCMに登場した歴代モデル14人を集め、新商品発売を華やかに演出した。

小売店で価格下落が加速 赤字覚悟の投げ売りも

 白ツバキの価格は550ミリリットル入りの「ポンプサイズ」で900円台。このサイズで800円以上の価格帯を設定した、いわゆる「プレミアムシャンプー」市場は昨年以降、新商品ラッシュだ。

 P&Gは白ツバキ発売直前の9月1日、新ブランド「h&s」を投入した。別名で海外展開されているこの商品は、同社で世界2位の売り上げを誇る大型ブランドだ。日本投入に際し、80億円ともうわさされる宣伝費をかけ、200万個の試供品を小売店の販売員などに配布した。

 ユニリーバも今年8月に「ダヴ プロエイジ」を発売、9月には看板ブランド「ラックス スーパーリッチシャイン」を全面刷新した。2003年に「アジエンス」で市場に先鞭をつけた花王も今年4月、40代をターゲットにした「セグレタ」を発売。1000円前後の高価格にもかかわらず、販売は好調だという。

 メーカーの新商品攻勢で、成熟市場のシャンプー市場が再び活性化していることは確かだ。経済産業省の統計によると、06年のシャンプー・リンス・トリートメントの販売総額は前年比5%増と伸長している。背景には、ユーザーの購買行動の変化もある。かつては家族全員で一つの商品を使うのが主流だった。が、今は自分専用に購入する家庭が増加。ファミリー向けより200~300円高いシャンプーを買うことに抵抗を感じなくなってきたようだ。

 この状況下、赤ツバキは発売初年度に、目標を大きく上回る180億円の売り上げを記録。「これだけ売っているのだから、利益は当然出ますよね」(広報部)。巨額の宣伝費を増収効果でカバーしたようだ。大胆なプロモーション戦略は、ひとまず成功したと見てよいだろう。

 資生堂はこの好機を逃さず新商品を投入し、赤と白のボトルで商品棚を占拠するもくろみだ。だが、ここに来て、想定外の動きが出てきた。小売りの店頭で、赤ツバキの値下げが加速しているのだ。

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